育児休業給付金の支給はなぜ「誕生日の前々日」まで?根拠規定を確認!

雇用保険に一定期間以上加入している労働者が育児休業を取得した場合には、「育児休業給付金」が支給されます。

ただ、育児休業は「1歳の誕生日の前日」まで取得することができますが、育児休業給付金を受けられのは「1歳の誕生日の前々日」までであり、事務処理上もややこしいところです。(1歳6カ月又は2歳まで延長したときも同様です。以下、1歳までの育児休業として話を進めます。)

なぜ、育児休業給付金は「誕生日の前々日」までしか受けられないのでしょうか。

育児休業は「子が1歳に達した日」まで取得することができる

育児休業は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児介護休業法)で定められています。

同法第9条第2項が、育児休業期間の終了する場合に関する規定です。

§育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

(育児休業期間)
第9条第2項 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、育児休業期間は、前項の規定にかかわらず、当該事情が生じた日(第3号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。

  1. 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が育児休業申出に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
  2. 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、育児休業申出に係る子が1歳(第5条第3項の規定による申出により育児休業をしている場合にあっては1歳6か月、同条第四項の規定による申出により育児休業をしている場合にあっては2歳)に達したこと。
  3. 育児休業終了予定日とされた日までに、育児休業申出をした労働者について、労働基準法第65条第1項若しくは第2項の規定により休業する期間、第15条第1項に規定する介護休業期間又は新たな育児休業期間が始まったこと。

育児休業期間は原則として労働者本人が請求した期間ですが、上記第2号により、「子が1歳に達した」ときは同日をもって終了します。

法律上、年齢は「誕生日の前日」に加算されます。

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例えば、平成30年2月20日に生まれた子が1歳になるのは平成31年2月19日です。

「子が1歳に達した」ことになるのは「1歳の誕生日の前日」であり、その日(当該事情が生じた日)に終了することから、育児休業を取得できる期間は1歳の誕生日の前日までとなります。

育児休業給付金は「1歳に満たない子」を養育する期間について支給される

一方、育児休業給付金は、雇用保険法第61条の7に規定されています。

§雇用保険法 (育児休業給付金)

第61条の7 育児休業給付金は、被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、その1歳に満たない子を養育するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。(一部省略)

(第2項以下 省略)

本条により、育児休業給付金は「1歳に満たない子を養育するための休業」をした期間について支給されます。

前述の通り、法律上の年齢は誕生日の前日に加算されます。

誕生日の前日は、すでに1歳に達していて「1歳に達した子を養育するための休業」となることから、育児休業給付金が支給される期間は「1歳の誕生日の前々日まで」となります。