労基法改正で予定されている「有給休暇取得義務化」のポイントは!?

労基法改正で予定されている「有給休暇取得義務化」のポイントは!?

政府は平成30年4月6日、働き方改革関連法案(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」)を閣議決定し、同日、厚生労働省から国会に法律案が提出されました。

(参考:第196回国会(常会)提出法律案(厚生労働省HP)

労働基準法の改正案には、労働者に年次有給休暇を5日取得させることを企業に義務付けることが盛り込まれていますが、どのような内容となっているのでしょうか。

有給休暇の取得義務化の概要

改正案では、使用者は、10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、5日間の有給休暇を、毎年、時季を指定して与えなければならないとしています。

ただし、労働者の自発的な取得(通常の取得)や、計画的付与によって取得させた有給休暇がある場合には、その日数分については、使用者が時季を定めて与えることを要しません。

要するに、何らかの形で1年に5日以上の有給休暇を取得させていれば法律違反とはなりません。

通常は、入社後6か月経過した時点で10日の有給休暇が付与されるため、正社員であれば、全て取得義務化の対象となります。ただし、出勤率が8割未満であったため有給休暇が付与されなかった場合を除きます。

一方、有給休暇の比例付与が行われる短時間(週30時間未満かつ週4日以下)のパートタイマーやアルバイトの場合は、取得義務化の対象となりません。

5日以上の有給休暇を取得させていない使用者については、法律違反として指導の対象となり、30万円以下の罰金刑に科せられる可能性があります。

なお、使用者の時季指定に関しては、厚生労働省令に、「使用者が時季を定めるに当たっては、労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないものとすること」と定められる予定となっています。

施行期日は、2019年4月1日が予定されています。

使用者の時季指定で起こり得る問題点

有給休暇の取得義務化によって、これまでほとんど有給休暇を取得できていなかった労働者が、有給休暇を取得しやすくなる可能性があります。

ただ、今回の法改正によって、使用者は、有給休暇を取得させる義務が課せられますが、考え方によっては、本来いつどのような理由で取得するかは労働者の自由である有給休暇を、使用者が、時季指定によって与えることが可能になるとも言え、その結果、別の弊害が生じる可能性もあります。

例えば、1年間が経過するまでには5日以上の有給休暇を取得する見込みがある労働者であっても、使用者は、1年間の開始直後に時季指定で5日間の有給休暇を取得させることが可能と考えられます。

そうなると、無駄に有給休暇を取得させられたと不満を募らせる労働者もいるのではないでしょうか。

または、時季指定権を持つ上司が、気に入らない部下を重要な会議に参加させないために時季指定を行って当日の出勤を行わせないような、一種のパワハラのように利用されるケースもあるかもしれません。

有給休暇を取得しやすい職場環境を

使用者による時季指定は、様々なトラブルを引き起こす原因にもなりかねません。

法改正後は、使用者が時季指定を行うことで法律違反にならないようにするのではなく、労働者本人が自発的に5日以上の有給休暇を取得するための対策を講じていくべきでしょう。

有給休暇を取得しやすいことは、労働者の満足度や士気の向上につながり、業務効率改善や離職率の低下にも貢献します。

中には、有給休暇の取得率を90%になるように業務改善をした結果、業績が40%もアップした企業もあります。

最低限の有給休暇を取得させることを目的とするのではなく、より多くの有給休暇を取得しやすい職場環境を整えていきましょう。

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