長時間労働や残業代不払いなどの労働問題が社会問題となっていることを受け、政府は、労働基準監督署の専門職員である労働基準監督官を増員する方針を固めています。

コミック原作のドラマ「ダンダリン」の舞台として取り上げられたり、「過重労働撲滅特別対策班(通称カトク)」による大手企業の書類送検事案が大々的に報道されたりと、最近にわかに注目を集めている労働基準監督官ですが、労働基準監督官になるにはどうすればいいのでしょうか。

労働基準監督官は「労働基準監督官採用試験」の合格者から採用される

労働基準監督官は、厚生労働省所管の国家公務員です。

労働基準監督官になるには、人事院・厚生労働省が毎年実施している「労働基準監督官採用試験」という専門試験に合格する必要があります。

採用試験は1次試験(6月上旬)と2次試験(7月中旬)からなり、1次試験では基礎能力や専門知識を問う筆記試験(多肢選択式・記述式)が、2次試験では個別面接などの人物試験が実施されます。

受験申込みは、毎年3月下旬~4月上旬にインターネットで受け付けています。

労働基準監督官試験はA試験(法文系)とB試験(理工系)がある

労働基準監督官採用試験の特徴の一つが、法文系(労働基準監督官A)理工系(労働基準監督官B)の試験が行われていて文系・理系を問わず採用の門戸が開かれていることです。

労働基準監督官の職務としては、長時間労働やサービス残業などの労働問題に関する相談対応や監督指導をイメージする方が多いと思いますが、労働者の安全や健康を確保して労働災害を防止するための安全衛生に関する監督指導も同じぐらい行っています。

日常的にヘルメットや安全帯を着用して建設現場や工場などに立ち入り、危険個所や機械がないか、危ない作業を行っていないかなどの確認・指導を行いますし、労働災害が発生したときに原因調査を行うのも労働基準監督官の仕事です。

監督指導の対象は仮設足場、建設重機、ボイラー設備、食品加工機械、金属加工機械、プレス機械、有機溶剤など多岐にわたり、法律の知識だけではなく理工系の知識も必要とされます。

なお、採用後の業務に労働基準監督官Aと労働基準監督官Bの区分はなく、A試験の採用者も理工系の知識が求められます。(B試験の採用者は法律や経済の知識が当然求められます。)

社会人経験のある人から労働基準監督官になる人が多い

労働基準監督官採用試験のもう一つの特徴として、社会人経験のある人の採用が多いことが挙げられます。

労働基準監督官試験は、受験年度の年齢が30歳まで(平成29年度は昭和62年4月2日以降に生まれた方)の方が受験できます。

私の時は、約80人の採用者のうち新卒直後の採用者は10人程度しかおらず、ほとんどが社会人からの採用でした。

前職も証券マン、銀行員、カーディーラー、トラック運転手、システムエンジニアなど様々です。

個人的には、社会人経験者の採用が多い主な理由は、

  1. 学生の間で労働基準監督官や労働基準監督署の認知度が低く、社会人経験者の受験者の割合が多い
  2. 身近な問題として労働問題に対する意識が高く、記述試験や個別面接で有利に働く

ことが主な理由ではないかと考えています。

以前ほどではないにしろ、最近の労働基準監督官採用試験でも社会人経験のある人が相当な割合で採用されているものと思われます。

現在会社にお勤めの方でも、興味がある人は一念発起して労働基準監督官を目指してみてもいいのではないでしょうか。

平成29年度の受験申込受付は3月31日から4月12日まで

平成29年度の労働基準監督官採用試験の実施予定は下記のとおりです。

  • 申込受付:平成29年3月31日(金)~4月12日(水)
  • 1次試験:平成29年6月11日(日)(合格者発表:7月4日)
  • 2次試験:平成29年7月12日(水)~7月14日(金)(合格者発表:8月23日)

労働基準監督官採用試験の詳細は、厚生労働省の労働基準監督官採用試験のページを確認してください。