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賞与の社会保険料免除を受けるための「1か月を超える育児休業」とは?

2022年10月1日から、育児休業を取得したときの給与及び賞与の社会保険料免除要件が変更になりました。

賞与の社会保険料免除要件は、従来は「賞与支払月の月末日を含んだ育児休業を取得した場合」でしたが、法改正後は「賞与支払月の月末日を含んだ1か月を超える育児休業を取得した場合」に厳格化されました。

例えば、3月10日から育児休業を取得した場合、3月支払い賞与の社会保険料免除を受けるためにはいつまでの育児休業を取得する必要があるのでしょうか。

翌月における「応当日の前日」が1か月の満了日

民法第143条は、暦による期間の計算について規定しています。

§民法

(暦による期間の計算)
第143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

「1か月(を超える)」は、「月によって期間を定めたとき」にあたります。

3月10日から育児休業を取得した場合、期間の起算日は育児休業開始日である「3月10日」です。

これは、本条第2項の「月の初め(1日)から期間を起算しないとき」にあたるため、「最後の月においてその起算日に応当する日(応当日)の前日」が満了日(終了日)となります。

応当日は、1か月後の月(最後の月)において起算日と同じ日(10日)である「4月10日」であり、その前日の「4月9日」が1か月の満了日です。

1か月を「超える」ためには、少なくとも満了日の翌日まで育児休業を取得する必要があります。

応当日の前日が満了日ですので、満了日の翌日は応当日です。

つまり、3月支払い賞与の社会保険料免除を受けるためには、1か月後の応当日(満了日の翌日)である「(3月10日から)4月10日まで」の育児休業を取得することが必要となります。

応当日がない場合は月末日が満了日になる

では、3月31日から育児休業を取得した場合は、3月支払い賞与の社会保険料免除を受けるためにはいつまでの育児休業を取得する必要があるでしょうか。

「3月31日」の1カ月後の応当日は「4月31日」です。

しかし、4月は30日までしかありません。

この場合、本条第2項ただし書きにより、「最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する」ため、月末日の「4月30日」が1か月の満了日となります。

1か月を超えるためには満了日の翌日まで育児休業を取得する必要があるため、3月支払い賞与の社会保険料免除を受けるためには、「(3月31日から)5月1日まで」の育児休業を取得することが必要となります。

1月29日~2月1日からの育児休業はすべて2月28日が1か月の満了日

応当日がない場合になりやすいのは、28日まで(うるう年は29日まで)しかない2月です。

通常の年(うるう年以外の年)の場合、育児休業開始日ごとの「1か月を超える日」は、下表のとおりとなります。

起算日
(育児休業開始日)
1か月の応当日 1か月の満了日 1か月を超える日
(賞与の社会保険料免除を満たす日)
1月27日 2月27日 2月26日(応当日の前日) 2月27日
1月28日 2月28日 2月27日(応当日の前日) 2月28日
1月29日 なし 2月28日(最後の月の末日) 3月1日
1月30日 なし 2月28日(最後の月の末日) 3月1日
1月31日 なし 2月28日(最後の月の末日) 3月1日
2月1日 3月1日 2月28日(暦に従って計算) 3月1日
2月2日 3月2日 3月1日(応当日の前日) 3月2日

1月29日から1月31日までが開始日の育児休業は、いずれも2月の応当日がないため、月末日である2月28日が1か月の満了日です。

また、2月1日が開始日の育児休業は、暦に従って月を計算するため、月末日である2月28日が1か月の満了日となります。

その結果、1月29日から2月1日までの間に開始した育児休業は全て、3月1日までの育児休業を取得することが賞与の社会保険料免除の要件となります。

これらは全て、育児休業期間に2月末日が含まれているため、2月支払い賞与の社会保険料免除が受けられます。

1月29日から1月31日までが開始日の育児休業については、1月末日も含むため、1月支払い賞与も社会保険料免除の対象になります。

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