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月100時間の残業を認める改正労基法案は「過労死合法化法案」なのか!?

政府は平成30年4月6日、働き方改革関連法案(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」)を閣議決定し、同日、厚生労働省から国会に法律案が提出されました。

(参考:第196回国会(常会)提出法律案(厚生労働省HP)

罰則対象となる時間外労働の上限時間については、すでに経団連、連合、政府の三者合意がなされている「月100時間未満」とされています。

いわゆる「過労死ライン」を基準に定められたため、野党やマスコミからは、労働基準法改正法案が「過労死合法化法案」であると非難する声が挙がっています。

労基法の改正によって、本当に過労死が合法化されるのでしょうか。

過労死の判断に労働基準法は関係ない

結論から言うと、法改正によって過労死が合法化されるわけではありません。

「過労死」とは、過重労働によって引き起こされた脳・心臓疾患を原因として死亡することを言います。(過重労働による精神障害によって自殺する「過労自殺」が含まれることもあります。)

過重労働の代表格が長時間労働ですが、過労死の労災認定にあたって、時間外労働が労働基準法に違反しない範囲で行われたかどうかは関係ありません

現在においても、例えば、月200時間までの特別条項付き36協定が締結されていれば、その時間までは時間外労働を行わせても労働基準法違反には問われませんが、もし労働者が月100時間超の時間外労働を行って脳・心臓疾患を発症した場合には、過労死として労災認定が行われますし、企業は、損害賠償などの民事上の責任を負います。

今回の労基法改正は、「法改正後も過労死の可能性がある時間外労働を合法的に行わせることができてしまう」だけであって、決して、「法改正によって月100時間までは過労死として労災認定されなくなる」とか、「法改正によって月100時間までは過労死が起きても企業の責任が問われなくなる」というわけではありません。

「過労死合法化」という誤認が過労死を引き起こす原因に

労働基準法の改正は、過労死防止対策の「手段」の一つです。

今回の法改正が、過労死防止対策として不十分であることは間違いありませんが、野党やマスコミによる「過労死合法化」という非難が、「月100時間までなら過労死が起きても合法化される」という誤った認識を広めてしまっているように感じます。

経団連、連合、政府の三者合意において、経団連が「月100時間以下」、連合が「月100時間未満」を主張して最後まで対立しましたが、これも「時間外労働が100時間に達しなければ問題ない」という印象を与えてしまったのではないでしょうか。

こういった誤認が、逆に、長時間労働や過労死を引き起こす原因になりかねないことが懸念されます。

今回の法改正の問題点は、過労死リスクが高い時間外労働を行わせることができてしまうだけであって、過労死が合法化されてしまうわけではないことにくれぐれも注意してください。

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