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健保「傷病手当金」と労災「休業(補償)給付」の比較(4)~休業期間中に会社から給与が支払われたときの取り扱い~

健康保険の「傷病手当金」と労災保険の「休業(補償)給付」の比較を行うシリーズの第4回です。(シリーズ関連記事はこちら

今回は、休業期間中に会社から給与が支払われたときの取り扱いの違いについて比較してみます。

ここでは、会社から給与が支払われるケースとして、

  • 全く勤務していない日に賃金が支払われた場合
  • 勤務時間の一部だけ働いた日にその時間分の賃金が支払われた場合

に分けて考えてみたいと思います。

勤務していない日に賃金が支払われた場合の傷病手当金

まず、療養のため休業していて全く勤務していない日に会社から賃金が支払われた場合の傷病手当金の支給額についてですが、その日の傷病手当金は、「傷病手当金の金額とその日に支払われた賃金額の差額」に相当する金額が支払われます。

賃金が月給で支払われている場合は、月給額を30で割った金額を休業日に支払われた賃金とします。

例えば、傷病手当金の1日あたりの支給額が6,000円で、休業日に会社から支払われた賃金額が2,000円の場合、その日の傷病手当金の支給額は4,000円(=6,000円ー2,000円)になります。

なお、休業日に支払われた賃金額が傷病手当金の金額を上回っている場合は、その日の傷病手当金は支給されません。

勤務していない日に賃金が支払われた場合の休業(補償)給付

一方、休業(補償)給付の場合、療養のため休業して全く勤務していない日に会社から賃金が支払われたとしても、原則として休業(補償)給付の減額は行われず、その全額が支給されます。 先程と同じ例でいえば、休業(補償)給付の1日あたりの支給額(⇒給付基礎日額の60%)が6,000円、休業日に会社から支払われた賃金額が2,000円の場合、休業(補償)給付は、減額されることなくその全額の6,000円が支給されます。

その結果、従業員は、休業(補償)給付と賃金をあわせた8,000円を受け取ることができ、また、これらとは別に、休業特別支給金(⇒給付基礎日額の20%)が国から支給されます。

ただし、会社から支払われた賃金額が、休業(補償)給付の1日あたりの支給額を上回っている場合は、休業(補償)給付の支給は行われません。

上の例で、休業日に会社から支払われた賃金額が6,000円であれば、休業(補償)給付の支給はなく、従業員が受け取れる総額は賃金の6,000円のみになります。

しかし、この場合であっても休業特別支給金は支払われます。

勤務時間の一部だけ働いた日にその時間の賃金が支払われた場合の傷病手当金

次に、勤務時間の一部だけ働いた日にその時間の賃金が支払われた場合のそれぞれの保険給付の取り扱いです。

例えば、午前中は治療のために通院して午後から勤務した日などです。 まず、傷病手当金の場合、一部勤務した日については「仕事が出来ず休業した日」として取り扱われなくなります。

その結果、その日に働いた時間数や支払われた賃金額などにかかわらず、その日の傷病手当金は全額支給されません。

勤務時間の一部だけ働いた日にその時間の賃金が支払われた場合の休業(保障)給付

一方、休業(補償)給付の場合は、一部勤務した日については「給付基礎日額とその日支払われた賃金の差額の60%」が支給されます。

給付基礎日額が8,000円の場合、全く勤務していない日の休業(補償)給付の支給額は、その60%である4,800円(=8,000円×60%)です。

もし、この日に勤務時間の一部だけ勤務して2,000円の賃金が支払われた場合、給付基礎日額と支払われた賃金の差額の60%が休業(補償)給付として支給されますので、3,600円(=(8,000円ー2,000円)×60%)が支給されます。

なお、休業特別支給金も、給付基礎日額と支払われた賃金額の差額の20%が支給されます。

給付基礎日額とその日支払われた賃金の差額に対して支払われますので、その日支払われた賃金額が給付基礎日額を上回っている場合は休業(補償)給付の支給は行われません。

(関連記事:健保「傷病手当金」と労災「休業(補償)給付」の比較(1)~(4)

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