
新入社員にとって待ち遠しい初任給。
初任給をもらったら何を買おうかと計画を立てている人も多いのではないでしょうか。
気を付けなければならないのが、いわゆる「手取額」。
給与は、基本給や手当などがその額面通りに支払われるわけではなく、様々なお金が控除された後の残りを手取額として支払われます。
法律に基づいて給与から控除されるお金には、
- 源泉所得税
- 住民税
- 雇用保険料
- 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)
があります。
額面通りの金額が支払われないことが分かっていても、いざ初任給を受け取ってみると、思っていたよりも手取額が少なくてびっくりしてしまうかもしれません。
初任給における手取額について、基本を理解しておきましょう。
源泉所得税は社会保険料等を控除した後の給与額と扶養人数で決まる
源泉所得税の控除額は、その月の給与金額と源泉控除対象の扶養親族(配偶者、16歳以上の子、親など)の数に基づいて「給与所得の源泉徴収税額表」によって決定します。
給与金額が多いほど、また、扶養親族が少ないほど、源泉所得税の控除額は多くなります。
給与金額は、当月の課税給与額(=非課税通勤手当以外の給与額)から社会保険料と雇用保険料(=社会保険料等)を控除した金額を用います。
その月に支払われた給与額に基づいて算出されるため、残業代や出来高払いなどで給与支給額が多くなれば、その分、源泉所得税の控除額も多くなります。
住民税は前年所得額に基づいて決定するため初任給からの控除はない
住民税は、前年(1月~12月)の所得額に基づいて算出され、6月~翌年5月の給与から控除されます。
その月に支払われた給与額とは関係がないため、給与支給額が多くなったり少なくなったりしても控除額が変わることはなく、毎月同額(端数処理の都合で6月のみ若干多い額)が控除されます。
ただ、通常、新入社員は前年所得がありません。
そのため、初任給から住民税の控除はされることは少なく、多くの場合、入社2年目の6月給与からの控除開始となります。
逆に、2年目は住民税の控除が始まることによる手取額の減少があり、場合によっては、1年目よりも手取額が少なくなってしまうこともあります。
雇用保険料はその月の給与支給額に基づいて算出する
雇用保険料は、その月の給与支給額に雇用保険料率を乗じた金額が控除されます。
給与支給額は、社会保険料等を控除する前の金額で、非課税通勤手当も含まれます。
雇用保険料率(本人負担)は、0.5%(農林水産、清酒製造の事業、建設の事業は0.6%。令和4年10月1日現在。)です。
その月の給与支給金額によって決まるため、残業代や出来高払いなどで給与支給額が多くなれば、その分、雇用保険料の控除額も多くなります。
社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は標準報酬月額に基づいて算出する
「標準報酬月額」とは
社会保険料は、「標準報酬月額」に保険料率(健康保険料率・厚生年金保険料率)を乗じた金額が控除されます。
標準報酬月額は、給与額を区切りのよい金額ごとに区分したもので、採用時の見込給与月額に基づいて決定(=資格取得時決定)します。
例えば、見込給与月額が23万円以上25万円未満の場合は標準報酬月額が「24万円」となり、これに保険料率を掛けたものが社会保険料控除額となります。
標準報酬月額は、毎年1回見直される(=定時決定)ほか、昇給等によって給与水準が大幅に変わった場合にも見直し(=随時決定)が行われます。
残業代や出来高払給などでその月の給与支給額が多くなったとしても、標準報酬月額が変わらなければ、社会保険料の控除額は変わりません。
社会保険料率は、地域や会社によって異なり、健康保険料率と厚生年金保険料率を併せて約14~15%(本人負担分)になります。
4月中に初任給が支払われる場合は5月以降との手取額の差に注意
4月1日に採用された新入社員の場合、4月分から社会保険料が発生します。
社会保険料は、前月分を給与から控除する「翌月控除」のため、4月分の社会保険料が控除されるのは5月に支払われる給与です。
そのため、「末日締め翌月10日払い」などで初任給が5月に支払われる場合は、最初から社会保険料の控除がされますが、「末日締め当月15日払い」などで初任給が4月に支払われる場合は、4月給与から控除する社会保険料はないため、次の5月給与が社会保険料控除の開始月となります。
4月給与の手取額が多いと安心していると、5月給与からいきなり手取額が減ってしまうことになりますので注意してください。
なお、法律上は正しくありませんが、会社によっては、4月支払い給与から4月分の社会保険料を控除する「当月控除」を行っている場合があります。
まとめ
初任給の手取額について整理すると、次のようになります。
- 源泉所得税と雇用保険料は、その月の給与額(源泉所得税は社会保険料等控除後の金額)によって控除額が変動する
- 源泉対象の扶養親族が多いと、源泉所得税の控除額は小さくなる
- 住民税は前年所得に基づくため、通常は初任給からの控除はされない
- 社会保険料は「標準報酬月額」に基づいて計算され、その月の給与額によっては変動しない
- 社会保険料の控除は、原則として5月支払い給与から始まる
給与の手取額の仕組みをしっかり理解しておきましょう。