なぜ年齢は「誕生日の前日」に加算されるのか?

法律上、年齢は「誕生日の前日」に加算されます。

誕生日の前日に年齢が加算される理由には、次の2つの法律が関わってきています。

§年齢計算ニ関スル法律

第1項 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算

§民法

(暦による期間の計算)
第143条第2項 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。(以下略)

これらの法律によると、年齢は、生まれた日(出生の日)が起算日となるため1日目として数え始め、誕生日の前日(起算日に応答する日の前日)に1年が満了します。

8月1日が誕生日の場合は、7月31日に1年が経過します。

7月31日の24時は、デジタル時計の表示では8月1日午前0時ですが、法律上は、「7月31日の24時」と「8月1日の午前0時」は別物です。

1年が満了するのは「7月31日の24時」であり、これを日単位で考えた場合は、誕生日の前日である「7月31日」が年齢が加算されるタイミングとなります。

ゴールした時点でカウントするのが自然

誕生日の前日に年齢が加算されることに違和感を感じる方は、例えば、運動場を走って1周する場合、「運動場を1周してきた(ゴールした)」と認められるのはどのタイミングでしょうか。

スタートラインとゴールラインは一緒ですが、1周が終了するのは「1周目をゴールしたとき」であり、「2周目をスタートしたとき」ではありません。

「2周目をスタートしていないから1周目が終わったとは認めない。」と言われたら納得がいかないでしょう。

年齢を数えるときもこれと同じです。

1年を経過した(1周した)としてカウントする(年齢を加算)するのは、誕生日当日(2周目のスタート)ではなく、誕生日前日(1周目のゴール)です。

誕生日の前日に年齢が加算されることは、法律によっておかしな数え方になっているわけではなく、至極当然のことと言えます。

    社会保険では年齢の数え方は重要

     社会保険の手続きでは、国民年金の資格取得や喪失の年齢や雇用保険の加入年齢など、年齢を基準に適用範囲が変わったり、資格の加入期間が変わったりするものが多くあり、どの時点で年を取るのかということは大変重要です。

    例えば、国民年金は「20歳に達した日の属する月」から加入します。

    「20歳に達した日」とは、「誕生日の当日」ではなく、「誕生日の前日」ですので、4月2日生まれ(=4月1日に20歳に達する)の人は4月から国民年金に加入し、4月1日生まれ(=3月31日に20歳に達する)の人は3月から国民年金に加入することになります。

    同じ月の生まれでも、国民年金に加入するタイミングに1か月の差が生じます。

    年齢による資格取得や喪失のタイミングは、社労士試験でも論点として出題されやすい部分であり、「誕生日の前日に年を取る」とただ暗記するのではなく、その理由も理解するように心がけるとよいでしょう。