仕事中や通勤中のポケモンGOは労災保険の給付が減額される可能性あり!

日本での「ポケモンGO」配信開始!

世界中で話題になっている「ポケモンGO」が日本でも昨日から配信開始されました。

街中を歩いていると今まさにポケモンGOをプレイしているのだろうと思われる人があちらこちらに。 普段ほとんどゲームをしない私も、あまりに話題になっているのでどんなものかなのだけでもちょっと見てみようと思ったんですが、Androidのバージョン非対応でダウンロード出来ず・・・。

同じようにダウンロードできなかった人も結構いるでしょうから、しばらくスマホの買い替え特需がありそうですね。

仕事中や通勤途中のケガには労災保険が適用されるが・・・

ポケモンGOをプレイしている最中の事故が心配されていますが、先程の街中で見かけた方々の中には、スーツや作業着などを着ていて、明らかに仕事中や通勤途中だと思われる人もたくさんいらっしゃいました。

仕事中や通勤途中に負傷した場合、原則として労災保険給付の対象となり、普段健康保険証を使用して受けている健康保険による給付よりも手厚い補償が受けられます。

例えば、病院で診療を受けた場合、健康保険では3割の自己負担を窓口で支払いますが、労災保険の場合は自己負担はなく、全額保険から給付されます。

また、どちらの保険も、負傷のため働けず給料がもらえない日数が一定以上になる場合、その期間中の収入補償として給付が行われますが、健康保険で支払われる「傷病手当金」よりも労災保険で支払われる「休業(補償)給付」の方が多くの金額が支払われます。

「重大な過失」だと保険給付額が30%減額される

健康保険よりも手厚い補償を受けられる労災保険ですが、負傷の原因に労働者本人の「故意の犯罪行為」または「重大な過失」がある場合は、一定の期間、一部の保険給付が30%減額されてしまいます。

減額が行われるのは、労災保険給付のうち「休業(補償)給付」「傷病(補償)年金」「障害(補償)年金」の3つです。

「傷病(補償)年金」は、休業(補償)給付と同じく、働けない期間の給料の補償として支払われる給付です。

また、「障害(補償)年金」は、けがが治ったあと障害が残ってしまったときに、一時金(軽度の障害)または年金(重度の障害)として支払われる給付です。

ポケモンGOに限ったことではありませんが、スマホを操作しながら歩いていてケガをした場合、「重大な過失」として保険給付金額を減額されてしまう可能性があります。

例えば、ポケモンGOをプレイしていて赤信号に気づかずに交差点に進入したり信号がないところを車道に入って行ったりして自動車にひかれた場合や、溝に気づかず足を取られて転倒してしまった場合などです。

「重大な」過失と規定されているため、これらの過失があったとしても軽微な過失と認められれば減額は行われませんが、歩きスマホの危険性がこれだけ訴えられている中ですから、「重大な過失」と判断される可能性は十分にあります。

これらの給付は長期間にわたって給付されることになることが多いですので、30%の減額はものすごく大きな収入減になってしまいます。

「通勤経路の逸脱」や「通勤の中断」として労災不支給となる可能性もあり

ポケモンGOをプレイしていたことによって、そもそも労災保険が支給されない可能性もあります。

通勤途中に本来の通勤経路(合理的な通勤経路)をそれてしまった場合(通勤経路の「逸脱」といいます)は、その後本来の通勤経路に戻ったとしても、逸脱した以降のケガは通勤災害として認められません。

そのため、近くで反応があったポケモンを探して通勤経路をそれた場合などは、それ以降のケガについては労災保険が不支給となります。

また、通勤経路上で通勤と関係のない行為を行った場合(通勤の「中断」といいます)も、中断以降のケガは通勤災害として認められなくなります。

通勤途中にスマホでゲームを行っていたことを理由に、直ちに「通勤と関係のない行為を行った」として労災が不支給になることは考えにくいですが、ポケモンGOは従来のスマホゲームと異なり、その性質上、移動することそのものが「ゲームをしている(ポケモンを探している)」という行為を行っていると判断される可能性があります。

そうなると、通勤経路上を移動している際のケガであっても、通勤が中断しているものとして労災保険が不支給とされることになります。

駅や公園のベンチなどに座り込んでプレイしていた場合などは、通勤の中断と判定されて労災保険が不支給となる可能性が相当程度に高くなるでしょう。

こういったリスクも考慮に入れながら、皆さん、事故やケガにはくれぐれも気をつけてポケモンGOを楽しんでください。