中途採用市場は2017年に入ってからも活況が続いており、転職支援サービスの利用者は増加傾向にあります。

転職のために会社を退職すると、会社で加入していた社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を喪失することになりますので、次の会社に入社するまでに一時的に失業期間が生じる場合は、失業期間中の社会保険の手続きを行わなければなりません。

失業期間中の社会保険はどのように取り扱われるのでしょうか。

「月末退職で翌月入社」「退職日と入社日が同月内」は社会保険未加入期間は生じない

退職後にほとんど期間を空けずに次の会社に入社する場合で、次の2つのいずれかに該当するときは、失業期間中の社会保険手続きは必要ありません。

  1. 前の会社を月末に退職してその翌月に次の会社に入社する場合
  2. 前の会社の退職日と次の会社の入社日が同一月内の場合

社会保険は月単位での加入になります。

退職日と入社日の間が空いても、上記の2つのいずれかに該当する場合は、転職する前後の会社で社会保険の加入が途切れることがなく、失業期間中の社会保険手続きは不要です。

具体例としては、1.は「3月31日に退職して4月15日に入社する場合」、2.は「4月5日に退職して4月15日に入社する場合」などが該当します。

これらの場合は、3月まで転職前の会社で社会保険に加入して4月から転職後の会社で社会保険に加入することになります。

「月末以外に退職で翌月入社」は退職月の社会保険が未加入に

退職日から入社日までの期間がほとんどない場合であっても、「月末以外の日に退職してその翌月に次の会社に入社する場合」は注意が必要です。

例えば、「3月30日に退職して4月15日に入社する場合」です。

先程の1.の事例と退職日が1日しか違いませんが、月末以外の日に退職した場合、退職する会社での社会保険の加入は退職月の前月までとなります。

この例では、転職前の会社の社会保険は2月までの加入となり、転職後の会社の社会保険は4月から加入するため、3月は自分で社会保険に加入する必要があります。

会社としては3月分の社会保険料の会社負担をしなくてよくなるため、月末での退職を申し出た際、会社が、1日前の退職を打診してくることがあります。

たった1日の違いと考えて安易に応じると、手続きの手間や自分で支払わなければならない社会保険料の金額が大きく違ってくることになるので注意しましょう。

失業期間中の健康保険は3パターン。年金とは分けて考える。

次の会社に入社する前に長期休暇を取る場合や、転職先が決まっておらず退職後も求職活動を続ける場合など、失業期間が生じる場合には、その期間中の社会保険手続きが必要となります。

退職後の社会保険手続きは、「健康保険」と「年金」に分けて行います。

まず、失業期間中の健康保険は、主に次の3つのパターンがあります。

(1)配偶者や親などの被扶養者になる

配偶者や親などの一定の家族が健康保険の被保険者であり、失業期間中の収入見込額が月額10万8333円未満の場合は、家族が加入している健康保険の被扶養者になることが出来ます。

自分で健康保険料を納める必要がないため、失業期間中の健康保険加入として最も費用の掛からない方法です。

なお、収入見込額には雇用保険の失業等給付も含まれるため、失業中であっても、雇用保険から受けることができる失業等給付(基本手当)が多い場合は、被扶養者になることが出来ない場合があります。

被扶養者になる場合は、家族に、勤務している会社で「被扶養者異動届」を提出してもらいます。

(2)退職した会社の任意継続被保険者になる

退職した会社で継続して2カ月以上健康保険に加入していた場合は、本人からの申し出により、最大で2年間、退職後も引き続き「任意継続被保険者」としてその健康保険に加入することが出来ます。

ただし、任意継続被保険者は、会社による保険料の半額負担はないため、保険料全額を自分で負担する必要があります。

単純に計算すれば退職後の保険料負担は在職時の2倍となりますが、保険料計算の基準となる「標準報酬月額」に上限額(協会けんぽの場合28万円)が設けられているため、必ずしも在職中の2倍とはなりません。

在職中の報酬額が上限額の2倍以上であった場合には、在職中よりも保険料負担額が少なくなることもあります。

任意継続被保険者への加入手続きは、退職日の翌日から20日以内に行う必要があります。

1日でも遅れると加入が認められなくなるため注意してください。

(3)市区町村の国民健康保険に加入する

お住まいの市区町村で国民健康保険に加入する方法です。

(1)(2)のどちらにも該当しない場合は必然的に国民健康保険に加入することになりますが、(2)で任意継続被保険者になることが出来る場合は、任意継続被保険者となるか国民健康保険に加入するかを検討することになります。

ほとんどの人にとって、どちらに加入するかの判断基準は保険料負担額になると思います。

国民健康保険の保険料は、前年所得や扶養者数などによって計算されますが、計算方法や保険料率は市区町村ごとに異なります。

お住まいの市区町村の担当窓口で保険料見込額を確認し、任意継続被保険者の保険料と比較してください。

年金は国民年金の「1号被保険者」か「3号被保険者」に

失業期間中の年金は、市区町村の国民年金に加入することになります。

健康保険の(1)のケースで配偶者の被扶養者になる場合は、「3号被保険者」となり、いわゆる専業主婦(夫)としての取り扱いになるため、国民健康保険料の負担はありません。

(1)のケースであっても配偶者以外の被扶養者になる場合や、(2)や(3)のケースに該当する場合は、「1号被保険者」となり、国民健康保険料の納付が必要となります。

国民健康保険の保険料額は、月16,490円(平成29年度)です。

転職を考えている方は、必要な社会保険手続きや保険料負担額も事前にしっかり理解しておきましょう。