社会保険料の本人負担額は「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」

健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、会社と本人がその半分ずつを負担して納付しています。

もし、社会保険料の折半額に端数が生じた場合は、「本人の負担額に50銭以下の端数がある場合は切捨て、51銭以上の端数がある場合は切上げ」を行って本人負担額とし、納付額と本人負担額の差額を会社負担額とします。

本人負担額の端数処理は、いわゆる四捨五入である「49銭以下切捨て50銭以上切上げ」ではなく、「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」です。

そのため、エクセルで本人負担額の計算を行う式を作成する際などは、round関数(四捨五入を行う関数)をそのまま利用したのでは正しい本人負担額を計算することが出来ません。

では、なぜ、社会保険料の本人負担額は「49銭以下切捨て50銭以上切上げ」はなく、「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」なのでしょうか。

端数処理は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」に基づいて行われる

これは、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」で規定されている端数計算の方法に従っているためです。

§通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律

(債務の支払金の端数計算)
第3条 債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に50銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に50銭以上1円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が50銭以上1円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を1円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。

本条は、債務の弁済で支払うべき金額の端数処理は「50銭未満(=49銭以下)切り捨て50銭以上切上げ」という、いわゆる四捨五入で行うと定めています。

この条文をそのまま読んでも、なぜ社会保険料の本人負担額が「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」になるのかわかりませんね。

なぜ、この条文に従うと、社会保険料の本人負担額が「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」になるのでしょうか。

「社会保険料の本人負担額」ではなく「給与の支払い」に対して法律が適用されている

これは、社会保険料の本人負担額に対してではなく、会社から本人に対して行われる給与の支払いに対して本条が適用されているためです。

例えば、ある社員の給与が10万円、厚生年金保険料が1万1円だとすると、会社と本人が負担すべき厚生年金保険料は半分ずつの5,000円50銭になります。

会社は、厚生年金保険料の本人負担分を給与から控除して徴収することができますから、会社が本人に支払わなければならない給与支給額(手取額)は9万4999円50銭(=10万-5,000円50銭)です。

この給与支払いが、法律で規定されている「(会社から本人に対する)債務の弁済」にあたります。そのため、会社が本人に支払わなければならない給与額は、四捨五入によって端数の50銭が切り上げられて、9万5000円になります。

その結果、本人は、厚生年金保険料を5,000円しか負担していません。

つまり、厚生年金保険料の本人負担分の50銭の端数は切り捨てられることになり、本人負担額は「50銭以下切捨て51銭以上切上げ」になるのです。

実務においてあまり役に立つ知識ではありませんが、ちょっとした豆知識として覚えておいてもいいのではないでしょうか。

(関連記事:切上げ?切捨て?社会保険料の納付額における端数処理の方法と法律根拠