年金受給資格が25年から10年に短縮へ。どれくらいの年金がもらえる?

年金受給資格が25年から10年に短縮へ。どれくらいの年金がもらえる?

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老齢基礎年金を受給するために必要な保険料納付期間が25年から10年に短縮へ

9月26日、政府は、年金の受給資格を得るのに必要な保険料納付期間を25年から10年に短縮する関連法案を閣議決定しました。

この関連法案は、同日から開会される臨時国会に提出され、もし成立すれば、来年10月から、保険料納付期間が10年以上ある人にも老齢基礎年金の支給が行われることになります。

本来、年金受給資格期間の短縮は、年金の財源となる消費税率の10%への引き上げと同時に実施される予定だったのですが、安倍晋三首相が、消費税増税の見送りが決定された後、無年金問題は喫緊の課題であると表明しており、今回の閣議決定となりました。

保険料納付期間が10年の場合の年金支給額は約19万5000円

老齢基礎年金は、40年(480月)保険料を納付した場合に年額780,100円(平成28年4月現在)が支払われ、納付月数が480月より少ないときは、次の計算式で算出した額が支給されます。

老齢基礎年金の支給額 = 780,100円 × ( 納付月数 ÷ 480月 )

つまり、10年(120月)の保険料を納付している人であれば、年額780,100円の4分の1(=120月/480月)にあたる年額195,025円(1か月あたり16,252円)が支払われることになります。

ただ、政府は、今回の年金受給資格期間の短縮によって約64万人が新たに年金を受け取れるようになり、その予算として年間約650億円を見込んでいます。

この予算が年金支給額以外の費用(人件費など)を含んだものなのかは調べてみないとわかりませんが、仮に、この予算がすべて新たに年金受給資格を得た人への支給額だとすると、一人当たりの年金支給額は年額101,563円(1ヵ月あたり8,464円)となり、これは約5年3ヶ月(63月)分の支給額にしか相当しません。

政府の予算見積もりが適当に行われているわけではないとすると、なぜこのような計算になるのでしょうか。

年金受給資格期間としてカウントされる「保険料免除期間」と「合算対象期間」

これは、保険料を全額納付した月以外に、保険料の全部または一部を納付していなくても年金受給資格期間としてカウントされる「保険料免除期間」と「合算対象期間」があるためです。

「保険料免除期間」は、収入が少なくて保険料を納めることが経済的に困難な場合であるなどの一定要件を満たす場合に、年金事務所に申請することによって保険料の全部または一部の納付が免除された期間です。免除額は、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4段階があります。

「合算対象期間」は、一定の理由に該当していて、保険料を納付していないことがやむを得ない、または納付していないことに正当な理由があると認められる期間です。主なものに、学生のため保険料の納付が猶予された期間(学生納付特例)や海外在住のため保険料を納付出来ない期間などがあります。

保険料免除期間と合算対象期間は、その月の保険料の全部または一部を納付していませんが、年金受給資格期間をみるときには1ヵ月分としてカウントされます。

そのため、保険料を全額納付した月が100月しかなくても、保険料免除期間や合算対象期間などが合計で20月以上あれば、年金受給資格期間の10年(120月)を満たし、老齢基礎年金が支給されることになります。

保険料免除期間や合算対象期間は、年金支給額の計算では1ヵ月としてカウントされない

保険料免除期間や合算対象期間は、年金受給資格期間を見るときには1ヵ月分としてカウントされる一方、年金支給額の計算を行う際には1ヵ月分としてカウントされません。

まず、保険料免除期間については、全額免除の月は「2分の1」、4分の3免除の月は「8分の5」、半額免除の月は「8分の6」、4分の1免除の月は「8分の7」として年金支給額に反映されます。

また、合算対象期間は年金支給額の計算には一切反映されません。合算対象期間がどれだけあったとしても年金支給額は全く増えないのです。

そのため、保険料免除期間や合算対象期間を含めて10年(120月)の年金受給資格期間を満たした場合には、年金支給額は120月分よりも少ない金額になります。

例えば、保険料を全額納付した月が全くなく、保険料全額免除期間だけが10年(120月)ある場合、保険料は全く納付していませんが、10年(120月)の年金受給資格期間を満たします。しかし、年金支給額を計算するときには、保険料全額免除期間は2分の1で計算されて60月(=120月×1/2)となるため、年金支給額は97,500円(=780,100円×60月÷480月)になります。

別の例として、保険料を全額納付した月と合算対象期間がそれぞれ60月ある場合、この場合も10年(=60月+60月)の年金受給資格期間を満たします。しかし、年金支給額には、合算対象期間は一切反映されず、保険料を全額納付した60月だけで計算されますので、こちらも、年金支給額は97,500円(=780,100円×60月÷480月)になります。

今回、年金受給資格期間を10年(120月)に短縮することによって新たに年金が受けられることになる人の平均年金支給見込額が63月に相当する金額だとすると、保険料納付期間の中に保険料免除期間や合算対象期間がかなり含まれているということでしょう。

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