育児休業期間取得前に請求していた年次有給休暇の取り扱い

育児休業の申し出を行ってきた社員が、その申し出より前に育児休業期間中の年次有給休暇を請求していた場合、その年次有給休暇はどのように取り扱われるのでしょうか?

育児休業申出後に休業期間中の年次有給休暇の請求はできない

育児休業中の年次有給休暇の取り扱いについては、次のような取り扱いが通達で示されています。

年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものであるから、育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はないこと。また、育児休業申出前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協力に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要の賃金支払の義務が生じるものであること。

【平成3年12月20日基発第712号】

育児休業の申し出をした後に育児休業期間中の年次有給休暇を請求することは、もともと休みの日に「この日休ませてください。」と言っているだけですので、社員は年次有給休暇の請求をすることは出来ませんし、会社も年次有給休暇を与えることができません。

もし会社と社員が年次有給休暇の取得に同意したとしても、会社が年次有給休暇を取得する余地がない日(もともと休みの日)にその取得をさせて賃金を支払うことは「年次有給休暇の買取り」にあたり、労働基準法違反になります。

育児休業申出前の年次有給休暇の請求はそのまま有効に

一方、育児休業の申し出がある前に年次有給休暇の請求が行われていた場合は、それが育児休業期間中の日であったとしても、年次有給休暇を取得させて賃金を支払う必要があります。

会社が年次有給休暇を取得させたくないと考えたとしても、会社が一方的に年次有給休暇の取得を取り消すことはできません。

また、社員のほうからも一方的に年次有給休暇の取り下げをすることはできませんから、もし社員から取り下げの申請があっても会社はそれに応じる義務はありません。

ただし、会社と社員が同意した場合は年次有給休暇を取り下げることが可能です。