日によって所定労働時間が異なる社員が有給休暇を取得したときに支払われる賃金は?

労働基準法第39条は、勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を社員に付与することを会社に義務付けています。

では、シフト制で日によって所定労働時間が異なる社員が年次有給休暇を取得した場合、年次有給休暇を取得した日にいくらの賃金を支払う必要があるのでしょうか。

有給休暇を取得した日の賃金の支払い方は3種類

労働基準法では、社員が年次有給休暇を取得した日の賃金は、次のいずれかによって支払わなければならないとされています。

(1)平均賃金
(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健康保険法による標準報酬日額に相当する額

いずれの方法で支払うかを支払いの都度選択するということは原則として認められず、どの方法で支払うかはあらかじめ就業規則等で明確に規定しておくことが必要になります。

また、これらの支払い方法のうち(1)と(2)は原則的な支払方法とされていますが、(3)は例外的な支払方法とされていて会社と従業員代表者が労使協定を締結しなければなりません。

実務上は通常の賃金が支払われる場合が多い

実務上では、ほとんどの会社で(2)の「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」が選択されています。

この場合、年次有給休暇を取得した日に支払わなければならない賃金は、その日の所定労働時間によって決まりますので、年次有給休暇を取得した日の所定労働時間が8時間であれば8時間分の賃金、4時間であれば4時間分の賃金を支払うことになります。

原則として、所定労働時間が8時間の日であっても4時間の日であっても年次有給休暇の消化日数は1日として取り扱うことになります。

ただし、多くの会社では半日単位での年次有給休暇の取得が認められています。この場合は、所定労働時間4時間の日は半日(0.5日)の年次有給休暇として取り扱っていることが多いと思われます。

なお、半日単位で年次有給休暇を取得出来るかどうかは会社の規定によります。

会社に半日単位での付与制度がないのであれば、社員から所定労働時間が4時間だから年次有給休暇を0.5日だけ使いたいという申し出があってもそれに応じる義務はなく、1日付与したものとして取り扱っても違法ではありません。

平均賃金で支払う場合は直近3ヶ月の賃金支払い状況で支給額が決まる

次に(1)の平均賃金による支払いが選択されている会社の場合はどうなるでしょうか。

平均賃金の算出方法は、労働基準法第12条に規定されており、原則として『直近3ヶ月の賃金総額をその計算の基礎となった期間の総日数で割った金額』になります。

平均賃金の算出方法は、それだけで本が1冊できるほど多くの例外規定が設けられているので、原則の算出方法で計算できないことも多いですが、ここではとりあえず『直近3ヶ月に実際に支払われた賃金総額で決まる』と理解しておいてください。

賃金総額には、基本給や家族手当など固定で支払われる賃金のほか、時間外手当や歩合給など月によって支払額が異なる賃金も含まれます。

そのため、平均賃金の額は、算出するタイミングによって大きく異なり、残業代や歩合給が多く支払われた月の直後であれば平均賃金は高くなり、閑散期で残業代があまり支払われなかった月の直後は平均賃金は低くなります。

したがって、年次有給休暇を取得した日の賃金を平均賃金で支払う場合は、その支払額は直近3ヶ月に支払われた賃金総額で上下することになります。

逆に、年次有給休暇を取得した日の所定労働時間は、支払われる賃金額に影響しません。

そのため、所定労働時間が8時間の日に年次有給休暇を取得した場合よりも所定労働時間が6時間の日に年次有給休暇を取得した場合の方が支払われる賃金額が多いこともあり得ます。

年次有給休暇を取得した時にいくら支払われるか気になる方は、会社の支払い方法がどれになっているか就業規則等を確認してみましょう。

最新情報をチェックしよう!