「労働者〇人以上の企業」の人数に含めるべき労働者の範囲は?

国は、企業に対して、従業員の雇用や就労環境に関する様々な届出、報告、計画の策定及び公表などを義務付けています。

これらの中には、事業規模が一定以上の企業にのみ義務付けられているものも少なくありません。

多くの場合、事業規模は、労働者数(常時雇用している労働者数)に基づいて判断されますが、法律・制度によって対象となる労働者の範囲が異なるため留意が必要です。

主な制度における対象となる労働者の範囲の一覧

一定以上の労働者数を雇用している企業に対して義務が課せられている主な制度と、それぞれの対象となる労働者の範囲は、次の通りです。

実施義務の内容 対象となる企業規模(労働者数) 労働者の範囲 留意点 引用元

高年齢雇用状況報告書の届出

31人以上

雇用契約の如何を問わず、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって1年を超えて雇用される者(見込みを含む)

  • 雇用期間の定めのない労働者
  • 1年を超える雇用期間を定めて雇用されている者
  • 一定期間(1か月、6か月等)を定めて雇用される者であって、その雇用期間が反復更新されている者であり、かつ、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者、又は雇入れのときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者(1年以下の期間を定めて雇用される場合であっても、更新の可能性がある限り、該当する。)
  • 日々雇用される者であって、雇用契約が日々更新されている者であり、かつ、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
昼間学生や副業・兼業者であっても、週所定労働時間が20時間以上であれば含まれる 障害者雇用状況報告書記入に当たっての留意事項
障害者雇用状況報告書の届出 43.5人以上
次世代育成支援に係る一般事業主行動計画の策定 101人以上
  1. 期間の定めなく雇用されている者
  2. 一定の期間を定めて雇用されている者または日々雇用される者であってその雇用期間が反復更新されて、事実上1.と同等と認められる者。すなわち、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者または雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者
次世代育成支援対策推進法関係パンフレット
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定 301人以上
正規雇用労働者の中途採用比率の公表 301人以上 雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指すものであり、次のような者は常時雇用する労働者となること。
  • 期間の定めなく雇用されている者
  • 一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者であってその雇用期間が反復更新されて事実上アと同等と認められる者。すなわち、過去一年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者
国外にある事業所等において雇用される労働者や昼間学生は含まない

通達(職発0209第2号)

正規雇用労働者の中途採用比率の公表Q&A

職場におけるハラスメント防止対策

大企業(小売業51人以上、サービス業・卸売業101人以上、その他の業種301人以上。別途資本金額又は出資総額による基準あり。)

労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」を従業員と解する。

パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者については、当該条文をもとに個別に判断される。

【解雇予告を必要としない者(労働基準法第21条)】

  • 日々雇い入れられる者(1か月間)
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者(その契約期間)
  • 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(その契約期間)
  • 試用期間中の者(14日間)

中小企業庁FAQ

パートの社会保険加入

501人以上

社会保険の被保険者(週所定労働時間及び月所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上)

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集

1年以上(または1年超)が「見込まれる」のであれば労働者数に含まれる

「次世代育成支援に係る一般事業主行動計画の策定」「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定」「正規雇用労働者の中途採用比率の公表」における労働者の範囲の判断基準は、「1年以上の雇用期間が見込まれるかどうか」です。

入社後1年を経過していなくても、1年以上の雇用が見込まれる者であれば労働者数に含まれるため、「1年契約の有期契約者」「6か月契約で更新が予定されている者」などは、入社直後から労働者の範囲に含まれます。

「高年齢雇用状況報告書の届出」「障害者雇用状況報告書の届出」も基本的な考え方は同じですが、

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 「1年超」の雇用期間が見込まれること

となっており、「次世代育成支援に係る一般事業主行動計画の策定」「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定」「正規雇用労働者の中途採用比率の公表」における労働者の範囲よりも狭くなっています。

「大企業」「中小企業」の区分は「解雇予告が必要な者」が基準

「職場におけるハラスメント防止対策」は、労働基準法第20条に定める解雇予告を行う必要があるかどうかが基準となります。

解雇予告の適用除外となる者と適用除外となる期間は、労働基準法第21条に定められています。

§労働基準法

第21条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

  1. 日日雇い入れられる者
  2. 二箇月以内の期間を定めて使用される者
  3. 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
  4. 試の使用期間中の者

これらに該当する者であっても、それぞれ定められた期間が経過した後は労働者数に含まれることに留意してください。