令和3年4月1日から、常時雇用する労働者が301人以上の企業は、求職者が容易に閲覧できるかたちで、直近3事業年度の各年度における正規雇用労働者の中途採用比率を公表することが義務付けられることになりました。
公表は、おおむね年1回、公表した日を明らかにして、インターネットの利用やその他の方法で行います。
(厚生労働省HP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/tp120903-1_00001.html
(リーフレット)
000737262.pdf (mhlw.go.jp)
(関係通達)
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について (職発0209第2号)
(Q&A)
000737271.pdf (mhlw.go.jp)
「常時雇用する労働者」とは?
常時雇用する労働者は、雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指し、次のような者が該当します。
- 期間の定めなく雇用されている者
- 一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者であってその雇用期間が反復更新されて事実上アと同等と認められる者。
(過去一年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者)
有期契約者は、実際に1年以上雇用されている者だけでなく、1年以上引き続き雇用されると見込まれる者も「常時雇用する労働者」としてカウントする必要があることに留意してください。
常時雇用する労働者は企業単位でカウントします。
ただし、法は、日本国内にある事業所のみに適用される「属地主義」であるため、国外にある支店・出張所や現地法人の事業所等で雇用される労働者は、常時雇用する労働者に含まれません。
また、いわゆる昼間学生も、原則として常時雇用する労働者にカウントされません。
中途採用比率とは
中途採用比率は、下記の計算式で算出します。
中途採用比率(%)= 正規雇用労働者の中途採用者数 ÷ 正規雇用労働者の全採用者数 × 100(小数点以下第一位を四捨五入)
正規雇用労働者に含まれるのは、「通常の労働者」と「短時間正社員」です。
「通常の労働者」は、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パート・有期労働者法)第2条の「通常の労働者」であり、基本的には「いわゆる正規型の労働者(正社員)」を指します。
通常の労働者に当たるかどうかは、社会通念に従い、当該労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給または昇格の有無)を総合的に勘案して判断されます。
「短時間正社員」は、期間の定めのない労働契約を締結している労働者であって、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短く、かつ、通常の労働者と同等の待遇を受けるものを指します。
明確な判断が難しいケースもあると思われますが、多くの場合は、会社の通常の認識として「正社員(地域限定正社員や短時間正社員などを含む)の採用かどうか」で判断すれば、おおむね問題はないでしょう。
なお、パートや契約社員として雇い入れた者を正社員に転換した場合は、正社員に転換した事業年度における中途採用として取り扱います。
公表はいつまでに行う必要がある?
初回の公表は、法施行(令和3年4月1日)後の最初の事業年度内に、可能な限り速やかに公表を行います。
事業年度が4月1日~3月31日の企業であれば、2021年4月1日~2022年3月31日の間に、直近3事業年度(2018年度~2020年度)の各年度における中途採用比率を公表します。
事業年度が1月1日~12月31日の企業であれば、2022年1月1日~2023年12年31日が最初の事業年度となり、直近3事業年度(2019年度~2021年度)の各年度における中途採用比率を公表します。
翌年以降の公表は、前回の公表からおおむね1年以内に速やかに公表を行うこととされており、毎年ほぼ決まった時期に公表することが望ましいでしょう。
公表の方法は?
公表は、インターネットの利用その他の方法によることとされており、原則として自社のホームページの利用のほか、厚生労働省が開設している「職場情報総合サイト「しょくばらぼ」」に掲載することが想定されています。
職場情報総合サイト しょくばらぼ|職場情報開示に積極的な企業紹介 (mhlw.go.jp)
「その他の方法」としては、事業所への掲示や書類の備え付けを行い、求職者等が容易に閲覧できる方法で公表する必要があります。