会社が行う「定期健康診断」のポイント

日本では、職場における労働者の安全と健康を確保するために「労働安全衛生法(安衛法)」が定められており、会社が社員に対して行う健康診断は、同法に基づいて実施されています。

健康診断には、従業員の採用時に実施する「雇入時健康診断」や、有機溶剤業務などの有害業務に従事する従業員に実施する「特殊健康診断」など、様々な種類がありますが、健康診断と聞いて多くの人がイメージするのが、毎年1回実施される「定期健康診断(定期健診)」ではないでしょうか。

会社が定期健診を実施する際に押さえておくべきポイントを確認しておきましょう。

「定期健診」を実施する際に押さえておくべきポイント

①実施方法

定期健診の実施方法は、

  • 会社で集団健診を実施する
  • 会社指定の病院で受診させる
  • 従業員各自に健康診断を受診させてその結果を提出させる

などがあります。

それぞれメリット・デメリットがありますので、従業員数や業種に応じて、最も適した実施方法を選択しましょう。

複数の方法を併用しても構いません。

ただし、従業員各自に健康診断を受診させてその結果を提出させる場合は、検査項目に気をつけましょう。

病院が行う健康診断には様々な種類があり、中には定期健診として必要な検査項目が不足しているものもあります。

特に、多くの病院で、40歳~74歳の人を対象に生活習慣病の予防と早期発見を目的に実施している「特定健康診査」という健康診断は、定期健康診断としては一部検査項目が不足していますが、検査項目が似ているため、従業員が誤って受診してしまうことが多く、注意が必要です。

ちなみに、この「特定健康診査」は、40歳~74歳のすべての人が受診することになっていますが、会社で定期健診を受けている人は、それで特定健康診査も受診したこととされています。

②費用負担者

定期健診の受診に要する費用は、会社が全額負担しなければなりません。

ただし、従業員各自に受診させてその結果を提出させる方法とした場合は、、従業員が人間ドックなどの高額の健康診断を受診するケースも想定されます。

定期健診費用に相当する部分のみを会社が負担し、差額を自己負担としても差し支えありません。

あらかじめ近隣の病院の定期健診費用を基準に会社負担の上限額を決めておき、従業員に通知しておきましょう。

定期健診の料金は地域や医療機関によって異なりますが、7,000~12,000円ぐらいのところが多いようです。

受診時間中の賃金については、法律上の支払い義務はありませんが、労働時間として取り扱い、賃金を支払うことが望ましいとされています。

実際、ほとんどの会社では、定期健診に要する時間は労働時間として取り扱っています。

従業員が不満を感じやすいところでもありますので、特段の理由がない限りは、労働時間として取り扱ったほうがよいでしょう。

③実施時期

定期健診の実施時期に制限はなく、従業員ごとに実施時期が異なっても構いません。

ただし、定期健診の趣旨に鑑みても、年によって実施時期が大きく変わるのは望ましくありません。

出来る限り毎年同じ時期に受診できるように、計画的に実施してください。

④パートタイム労働者の健康診断

正社員よりも労働時間が短いパートタイム労働者であっても、正社員の週所定労働時間の4分の3以上(おおむね30時間以上)働くパートタイム労働者に対しては、健康診断を実施する義務があります。

また、正社員の週所定労働時間の2分の1以上4分の3未満(おおむね20時間以上30時間未満)働くパートタイム労働者に対しては、健康診断の実施が望ましいとされています。

法律上の健康診断実施義務がない社員に健康診断を実施する制度を設けることで利用できる雇用保険助成金もありますので活用しましょう。

従業員には「定期健診」を受診する法律上の義務がある

定期健診は、会社へ法律上の実施義務が課されている一方、従業員にも会社が行う定期健診を受診する法律上の義務が課されています。

受診を拒否しようとする場合は、自分で受診した健康診断の結果を会社に提出しなければなりません

そのため、会社が指示した定期健診の受診を拒む従業員がいる場合は、自分で受診した健診結果を提出するよう指示するとともに、その経緯を記録に残しておきましょう。

これは、自分で人間ドックを受ける等の理由で会社の定期健診を受診しない従業員の場合も同様です。

なお、会社に従業員が指定する健康診断を受けさせる義務があるわけではないので、この場合の受診費用を会社が負担する義務はありません。

健康に対する意識が高い人が増えており、会社の健康診断制度の充実は、社員の満足度の向上にもつながります。

会社と従業員の双方が納得できる定期健診ルールを定めるように心掛けましょう。

(この記事は「SmartHR mag.」に掲載された筆者記事を再構成して掲載しています。)

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