退職時に未払い残業代を遡って請求する際の4つの方法

近年、労働者から会社に対して未払い残業代の請求が行われるケースが増加しています。

未払い残業代の請求が行われるタイミングで最も多いのが労働者がその会社を退職した直後です。

在職中は不利益な取り扱いを受けることを恐れて請求することができなかった労働者が、退職直後に消滅時効にかからない過去2年間の未払い残業代を遡って請求するためです。

未払い残業代を請求する方法には主に次の4つの方法があります。

  1. 自分で直接会社に対して請求する
  2. 労働基準監督署に申告する
  3. 労働審判によって請求する
  4. 民事裁判によって請求する

それぞれの請求方法においては、どのような点に留意すべきでしょうか。

(1)自分で直接会社に対して請求する

自分で直接会社に対して未払い残業代を請求する方法です。

労働基準監督署に相談されることや民事訴訟を起こされることなどを懸念して支払いに応じる会社も少なくありません。

うまくいけば早期解決を図ることができ、弁護士費用等も不要であるためコスト面でメリットがあります。

ただ、労使双方の話し合いによって解決を図るものであり、労働者から一方的に請求した未払い残業代の全額がスムーズに支払われることはあまり多くありません。

会社側に支払いの意思があることに加えて、労働者にも譲歩する姿勢が求められます。

(2)労働基準監督署に申告する

残業代未払いの事実を労働基準監督署に申告して労働基準法違反の指導をしてもらう方法です。

費用は掛かりませんし、労働基準監督署には会社に立ち入り調査を行う権限があるため、労働者が労働時間を証明できる資料を持っていない場合であっても会社で保管しているタイムカードなどに基づいて未払い残業代を算出して指導してもらえる可能性があります。

ただし、指導が行われるのは証拠書類等から法違反を確認できるものに限られますので、労働者が請求したい金額をそのまま指導してもらえるわけではありません。

また、残業代の未払いが確認できても、会社が指導に従わない場合に労働基準監督署が最終的に取り得る手段は労働基準法違反として罰則を求めることであり、未払い残業代を強制的に支払わせることはできませんので、労働者にとって実質的な解決とならない(法違反として罰則が課されるだけで自分にお金が入ってこない)可能性があります。

民事裁判で請求しうる遅延損害金や付加金などの支払いも指導対象とはなりませんので、なるべく多くの金銭を支払ってもらうことが目的の場合は、民事裁判等によって解決を図る必要があります。

(3)労働審判によって請求する

労働審判は、解雇や給料の不払いなどの労働関係に関するトラブルを迅速かつ実効的に解決することを目的とした制度です。

裁判員1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理を行い、事実関係や労使双方の言い分などを整理して調停(話し合い)による解決を図ります。

調停が成立しなかった場合は、労働審判委員会から妥当な解決方法と考える「労働審判」が言い渡されますが、労使のいずれかがその内容に異議を申し立てた場合は、労働審判の効力は失われて通常の訴訟に移行します。

労働問題に関して知識や経験を有する労働審判員が第三者の立場から意見の調整を行ってくれますので、早期解決を図ることができます。

ただし、あくまでも労使の話し合いの中で解決を図る制度であるため、労使双方に譲歩する姿勢が求められます。

また、印紙代、郵便切手代、弁護士費用などの費用が必要となります。

弁護士に依頼せずに手続きを進めることもできますが、実際には全体の9割弱で労使双方が弁護士を利用しており、基本的には弁護士に依頼する必要があると言えます。

(4)民事裁判によって請求する

裁判所に訴訟を起こして未払い残業代を請求します。

未払い残業代だけでなく遅延損害金や付加金も併せて請求できるため、証拠資料が十分に揃っている場合には有効な請求方法となります。

ただし、通常は解決に至るまでにかなりの時間を要し、弁護士費用などの費用もそれ相応に必要となります。請求しようとする金額が比較的低額である場合などは、費用倒れになって実質的にお金が手元に残らない可能性もあるので注意が必要です。

未払い残業代の請求においては証拠集めが何より重要

未払い残業代を請求しようとする場合に何より重要となるのが、請求根拠となる証拠資料の確保です。

最近は初期費用無料で相談に応じてくれる弁護士事務所も増えています。

どのようなものが残業代を計算する際の証拠資料となり得るのか、普段からどのような資料を残しておくべきかなどは弁護士などに早めに相談してアドバイスを受けておきましょう。

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