平成31年4月から国民年金で産前産後期間の保険料免除制度が開始!2~3月に出産する方も一部免除が受けられます!

国民年金の第1号被保険者の産前産後期間の保険料を免除する制度が平成31年4月1日から施行されます。

平成28年12月14日に成立した「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金改革法)に基づくもので、厚生年金(第2号被保険者)では平成26年4月から産前産後休業期間中の保険料を免除する制度が施行されていましたが、国民年金においても産前産後の一定期間について保険料の免除が受けられるようになります。

制度施行は平成31年4月1日ですが、平成31年2月1日以降に出産される方であれば産前産後の一部期間について保険料免除を受けることができます。

国民年金の第1号被保険者これから出産を控えている方は忘れずに手続きを行いましょう。

国民年金保険料を納付している自営業、フリーランス、パートタイマーなどが対象

国民年金の第1号被保険者は、日本国内に居住している20歳以上60歳未満で、厚生年金や共済組合等の被保険者(第2号被保険者)やその被扶養配偶者(第3号被保険者)ではない方であり、具体的には、自営業者、フリーランス、農業・漁業者、学生、無職の方などが該当します。

会社勤めの方であっても、パートタイマーやアルバイトなどで会社の厚生年金に加入しておらず国民年金保険料を納付している場合には、第1号被保険者として保険料免除の対象となります。

なお、国民年金には、一定の要件に該当する方を任意加入させる制度がありますが、任意加入者については産前産後期間に係る保険料免除は適用されません。

免除期間は出産予定月又は出産月を基準とした4か月間(多胎妊娠の場合は6か月間)

出産日以前の申請は「出産予定日」、出産日以降の申請は「出産日」が基準

「出産」とは、妊娠 85 日(4 か月)以上の出産(死産、流産、早産を含む)をいいます。

保険料免除が受けられる期間は、出産予定日の属する月(出産予定月)の前月から出産予定月の翌々月までの4か月間(多胎妊娠の場合は出産予定月の前々月から出産予定月の翌々月までの6か月間)です。

ただし、出産日以降に保険料免除の申請を行った場合には、出産予定日ではなく実際に出産した日が属する月(出産月)を基準とした4か月間(多胎妊娠の場合は6か月間)が免除期間となります。

例えば、出産予定日が9月25日で実際の出産日が10月1日であったとき、出産日よりも前に免除申請を行った場合には、出産予定日が属する月(9月)を基準として8月から11月までの4か月間(多胎妊娠の場合は6月から11月までの6か月間)が免除期間となりますが、出産日以降に免除申請を行った場合には、出産日が属する月(10月)を基準として9月から12月までの4か月間(多胎妊娠の場合は7月から12月までの6か月間)が免除期間となります。

なお、出産日より前に免除申請を行った場合には、出産予定月と実際の出産月が異なったとしても免除期間の変更は原則として行われません。

厚生年金における保険料免除制度との違い

厚生年金が「産前産後休業期間」の保険料免除であるのに対し、国民年金は「産前産後期間」の保険料免除です。

厚生年金は、労働基準法第65条に基づく産前産後休業(産前6週間、産後8週間。多胎妊娠の場合は産前14週間)のうち、実際に休業した期間に基づいて免除期間を決定します。

そのため、被保険者が産前産後休業を取得しなかった(出産直前まで働いていた)場合には保険料免除はされず、出産日前に免除申請を行っていて実際の出産日が出産予定日と異なった場合(産前産後休業期間の変更があった場合)には、原則として免除期間の変更手続きが必要となります。

一方、国民年金に加入しているフリーランスや自営業などの第1号被保険者には「(会社を)休業する」という概念がないため、出産予定日又は出産日を基準とした一定期間が免除期間となります。

なお、パートタイマーやアルバイトで国民年金に加入している方(厚生年金の加入要件を満たしていない方)の場合は労基法に基づく産前産後休業を会社に請求して取得することができますが、この場合であっても、国民年金保険料の免除期間は産前産後休業の取得の有無や取得した期間の長さに関係なく、出産予定日又は出産日を基準とした4か月間(多胎妊娠の場合は6か月間)となります。

免除期間中は保険料全額が免除され、将来受け取る年金額も減額されない

免除期間については国民年金保険料を納付する義務が免除されます。

国民年金の保険料は月16,340円(平成30年度)であり、免除期間が4か月の場合には約65,000円、多胎妊娠で免除期間が6か月の場合には約9万8000円の保険料が免除されます。

また、免除期間は保険料全額の納付があったものとみなして「保険料納付済期間」としてカウントされ、将来受給できる基礎年金も減額されることなく支給されます。

国民年金には従来から一定要件を満たす低所得者を対象に保険料の全部または一部を免除する制度がありますが、当該免除制度は「保険料納付済期間」として年金の受給要件の判断においては不利益が生じないように取り扱われるものの、年金受給額の計算では免除の割合に応じた減額がされます。

そのため、従来の免除制度よりも産前産後期間の免除制度の方が有利な制度となっています。

なお、付加保険料(月400円)を納付している場合には、産前産後の保険料免除期間中も継続して付加保険料を納付することができます。(付加保険料は免除されません。)

また、免除期間中の保険料を前納などによってすでに納付している場合には、免除期間中の保険料が還付されます。

免除申請は平成31年4月1日から市区町村の窓口で受け付け開始

産前産後期間の保険料免除の申請は、平成31年4月1日から受付が開始されます。

免除申請を行う場合には、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出します。

申請用紙は、平成31年4月から年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金の窓口に備え付けられるほか、日本年金機構のホームページからもプリントアウトすることができるようになる予定です。

出産前に申請書を提出する場合には、母子健康手帳など出産予定であることがわかるものが必要となります。

なお、出産後に届書の提出をする場合には、出産日は市区町村で確認できるため原則不要です。

また、被保険者と子が別世帯の場合は、出生証明書など出産日及び親子関係を明らかにする書類が必要となります。

平成31年2月1日以降に出産した方は産後期間の一部について免除申請が可能

保険料免除制度の施行は平成31年4月1日からですが、「出産月の翌々月まで」が保険料免除期間となるため、平成31年2月中に出産した方であれば4月分の1か月間、3月中に出産した方であれば4月、5月の2か月分について保険料免除が受けられます。

なお、免除申請の受付は4月1日からのため、3月31日までに出産予定の方については出産前に出産予定日を基準に免除申請を行うことができず、必ず出産後に出産日を基準として免除を申請することになります。

そのため、例えば出産予定日が1月31日であった方が2月1日に出産した場合には1か月(4月分)の保険料免除を受けることができますが、出産予定日が2月1日であった方が1月31日に出産した場合には保険料免除を受けることができません。