第1子の育児休業期間中に第2子が生まれることに。育児休業給付金と出産手当金は両方もらえる?

健康保険と雇用保険に加入している社員の場合、産前産後休業を取得した期間については「出産手当金」(健康保険)が、育児休業を取得した期間については「育児休業給付金」(雇用保険)がそれぞれ支給されます。

では、第1子の育児休業期間中に第2子が生まれることになった場合、育児休業給付金と出産手当金の支給はどうなるのでしょうか。

結論から言うと、

  • 「育児休業」と「産前休業」の重複期間は、育児休業給付金と出産手当金の両方を受けることができる
  • 「育児休業」と「産後休業」の重複期間は、出産手当金のみを受けることができる

という取扱いになり、産後は出産手当金しか受給できませんが、産前は育児休業給付金と出産手当の両方を併給することが可能です。

では、なぜ産前だけ育児休業給付金と出産手当金を併給することができるのでしょうか。

第2子の産前産後休業期間が始まった場合は第1子の育児休業期間が終了する

雇用保険法第61条の4は、育児休業給付金の支給について規定しています。

§雇用保険法

(育児休業給付金)
第61条の4 被保険者(略)が、厚生労働省令で定めるところにより、その1歳に満たない子(略)を養育するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前2年間(略)に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であつたときに、支給単位期間について支給する。

2~7項 略

また、同法施行規則第101条の11第1項は、本条によって育児休業給付金が支給される休業期間について次のように規定しています。

§雇用保険法施行規則

(法第61条の4第1項の休業)
第101条の11第1項 育児休業給付金は、被保険者(略)が、次の各号のいずれにも該当する休業(略)をした場合に、支給する。

((1)~(2) 略)

(3)次のいずれかに該当することとなつた日後の休業でないこと。

(イ~ロ 略)

(ハ)休業終了予定日とされた日までに、育児休業の申出をした被保険者について労働基準法第65条第1項若しくは第2項の規定により休業する期間(次項及び第101条の16において「産前産後休業期間」という。)、(略)又は新たな1歳に満たない子を養育するための休業をする期間(次項において「新たな育児休業期間」という。)が始まつたこと(特別の事情が生じたときを除く。)。

本条により、第1子の育児休業期間中に第2子の産前産後休業が始まった場合には、そこで育児休業期間は終了となり以降は育児休業給付金の支給を受けられません。

なお、一定の要件を満たす「1歳6カ月に満たない子」「2歳に満たない子」について育児休業給付金が支給される場合もこれらの規定によります。

「産前休業」の取得は請求があった場合に限られるが「産後休業」は必ず取得させなければならない

次に、労基法第65条では、産後休業休業について次のように規定されています。

§労働基準法

(産前産後)
第65条 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

2 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

3 略

第1項に産前休業、第2条に産後休業がそれぞれ規定されていますが、第1項の産前休業が「請求した場合」が要件とされているのに対し、第2項の産後休業は請求が要件とされていません。

したがって、産前は社員が請求しない限り「産前産後休業が始まった場合」に該当しないため、育児休業期間が終了せず育児休業給付金を受給できるのに対し、産後は必ず「産前産後休業が始まった場合」に該当するため育児休業期間が終了し、育児休業給付金を受給することができません。

出産手当金が支給されるのは「産前産後休業を取得した期間」ではなく「労務に服していない期間」

さらに、健康保険法第102条では、出産手当金の支給要件を次のように規定しています。

§健康保険法

(出産手当金)
第102条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。

出産手当金は、産前産後期間(産前42日(6週間)+産後56日(8週間))の間で「労務に服さなかった期間」について支給するとされています。

「産前産後休業を取得した期間」ではなく「産前産後に労務に服さなかった期間」が支給要件のため、第2子の産前休業を請求せず、第1子の育児休業期間のため労務に服さなかった場合であっても出産手当金の支給要件を満たします

したがって、産前については、育児休業給付金の支給要件(育児休業期間であること)と出産手当金の支給要件(労務に服さなかった期間であること)をどちらも満たすため、両方を同時に受給することができます。

一方、産後については育児休業給付金の受給要件を満たすことがないため、第2子の産後休業期間として出産手当金のみを受給することになります。

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