業務中や通勤途中にケガをして療養のため休業した場合、労災保険から「休業(補償)給付」が支給されます。
労災保険における「休業日」は、次の3つの要件をすべて満たす日をいいます。
- 業務上の事由又は通勤による負傷や疾病による療養であること
- 労働することができないこと
- 賃金を受けていないこと
休業(補償)給付は、休業4日目から支給され、最初の3日間については支給されません。
この休業(補償)給付が支給されない3日間を「待期期間」といいます。
では、災害発生当日は、「休業日」として待期期間の3日間に含まれるのでしょうか。
所定労働時間の一部を休業した場合は災害発生当日も「待期期間」に含まれる
災害発生当日が「休業日」に当たるかどうかについては、下記の通達が示されています。
負傷又は疾病が、当日の所定労働時間内に発生し、所定労働時間の一部について労働することができない場合については、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60以上の金額が支払われているときであっても、特別の事情がない限り、休業補償が行なわれたものとして取扱うこととなるので、その日は「休業する日」となるものであること。(昭和40.9.15基災発14号)
所定労働時間の一部休業の場合のみ負傷当日を休業日数に算入するものである。(昭27.8.8 基収第3208号)
上記通達により、所定労働時間内にケガをして直ちに病院に搬送された場合など、所定労働時間の一部について労働することができなかった場合は災害発生当日を「休業日」として待期期間に含めます。
一方、残業時間中にケガをした場合には所定労働時間について一部休業をしていないことになるため、災害発生当日は「休業日」に当たらず、待期期間にも含まれません。
また、所定労働時間内にケガをした場合であっても、そのまま終業時刻までは勤務を継続して勤務終了後に病院にかかった場合は「休業日」に当たらないと解されます。
通勤災害の場合も「所定労働時間内の休業の有無」で取り扱いが異なる
通勤災害の場合も、災害発生当日を待期期間に含めるかどうかの考え方は同じです。
すなわち、出社途中にケガをして所定労働時間の全部又は一部を休業した場合は災害発生日を「休業日」として待期期間に含めることになりますが、退社途中にケガをした場合は「休業日」に当たらず、翌日以降から待期期間をカウントすることになります。