新たな労働時間管理制度として注目を集めている「勤務間インターバル制度」の導入が大手企業を中心に進んでいます。

政府は、一時、勤務間インターバル制度を法律に規定することを検討していましたが、最終的には法律による義務付けは見送り、助成金によって会社の自発的な導入を促進することとしました。

それを受け、この度、従来からある「職場意識改善助成金」の中のコースの一つとして「勤務間インターバル導入コース」が新設されました。

助成金額は導入費用の4分の3で最大50万円

勤務間インターバル導入コースは、事業場に所属する労働者の過半数の労働者に対して、9時間以上の休息時間(インターバル時間)を導入した場合に支給されます。

勤務間インターバル制度を新たに導入した場合のほか、すでに勤務間インターバル制度を導入している場合であっても、適用される労働者を過半数以上に拡大した場合や、休息時間を9時間未満から9時間以上に引き上げた場合には助成金の対象となります。

助成金額は、制度導入に要した費用の4分の3となっており、パート社員を正社員に雇用転換したときに支給される「キャリアアップ助成金」のような定額支給ではありません。

また、導入した勤務間インターバル制度の休息時間の長さなどによって、助成金額の上限が下記のように定められています。

休息時間数 「新規導入」 「適用範囲の拡大」または「時間延長」
9時間以上11時間未満 40万円 20万円
11時間以上 50万円 25万円

日本のモデルにしているEU加盟国の勤務間インターバル制度は、始業時間から休息時間を確保するため実際に出勤することになった時間までの賃金は控除することなく支払われることになっています。

しかし、今回の助成対象となる勤務間インターバル制度は、始業時間から実際に出勤した時間までの賃金を支払うことは要件とされておらず、この時間の賃金を支払わない制度であっても助成金の給付が受けられます。

助成の対象となる費用

助成の対象となる費用は、次の通りです。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
  4. 就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
  5. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  6. 労務管理用機器の導入・更新
  7. その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新

これらのうちいずれか一つ以上実施することとされていますが、勤務間インターバル制度を導入することが支給要件の助成金のため、少なくとも4.の就業規則の作成・変更は必須となるでしょう。

「6.労務管理用機器の導入・更新」は、タイムレコーダーやICカードなどが該当します。

「7.その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新」は、定時に社内ネットワークを使用できなくすることで、強制的に業務を終了し、勤務間インターバルを確保させるシステムの導入などが例として挙げられています。

なお、助成の対象となる費用は、勤務間インターバル制度導入計画の事業実施承認を受けた以降に支払われたものに限られます。

今回、事業実施承認は、平成29年4月3日以後に行われることとなっており、それ以前に支出した費用は助成対象となりません。

法律違反がある場合は助成金の支給対象外

勤務間インターバル制度導入に対する助成金は、「職場意識改善助成金」の中のコースの一つとして新設されました。

職場意識改善助成金は、過去1年に賃金不払いなどの労働関係法令違反を行ったことが明らかである場合など、当該事業主に支給決定を行うことが適切でないと労働局長が認める場合には不支給となります。

職場意識改善助成金の支給決定に関する事務は、都道府県ごとに設置されている労働局の部署(雇用環境・均等部(室) )が行っています。

労働局によっては、支給申請を行った全事業場に対して法律違反の有無に関する実地調査を行っており、実地調査で36協定届を届け出ていないことが判明した場合などは助成金の支給が受けられませんのでご注意ください。

勤務間インターバル制度の導入や助成金の活用はご相談ください

勤務間インターバル制度の導入は、会社の状況や方針を考慮しながら、多くのことを検討・決定する必要があります。

また、助成金には上記以外にも細かい支給要件がいくつも存在し、申請書類の作成も容易ではありません。

弊所では、労働問題の対応経験豊富な元労働基準監督官の社会保険労務士がサポートさせていただいておりますので、勤務間インターバル制度の導入や助成金の活用をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。