年末調整の扶養控除等申告書へのマイナンバー(個人番号)の記載は省略できます!

扶養控除等申告書にはマイナンバーの記載が必要

平成27年10月15日(一部の規定は平成28年1月1日)にマイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が施行されました。

それに伴い、平成28年分からは年末調整で作成する「扶養控除等申告書」に従業員や被扶養者の個人番号(マイナンバー)の記載が必要となりました。

去年の年末調整ではその対応に苦慮して例年より多くの時間がかかってしまったという給与事務担当者の方も多いと思います。

個人番号が記載された扶養控除等申告書は、マイナンバー法の「特定個人情報(=個人番号を含んだ個人情報)」にあたるため、同法の規定に則った厳重な取り扱いや管理が求められます。

従業員から扶養控除等申告書を提出してもらう際や、給与事務担当者が記載事項の確認作業を行う際などは、個人番号取り扱い担当者以外の人の目に入らないような対策を講じる必要があります。

万が一情報漏えいがあった場合には罰則の適用もあり、ただでさえ煩雑な年末調整事務がさらに厄介なものになりかねません

扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略する要件

ただ、扶養控除等申告書への個人番号の記載は一定の要件を満たすことで省略することができます。

個人番号の記載を省略する方法は次の2通りです。

【扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略する方法1】

扶養控除等申告書とは別の方法(会社指定の個人番号報告様式など)によって従業員から個人番号の提供を受け、扶養控除等申告書にその旨を表示する方法です。

この場合、次の3つの要件を満たしている必要があります。

【要件1】
従業員から別にマイナンバー(個人番号)の提出を受けて保有していること。

【要件2】
従業員が、扶養控除等申告書の余白に「マイナンバー(個人番号)については給与支払者(会社)に提供済みのマイナンバー(個人番号)と相違ない」旨を記載すること。

【要件3】
給与支払者(会社)が、既に提供を受けている従業員等のマイナンバー(個人番号)を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示(記載)すること。

方法1は、法律の規定に基づく省略方法ではありません。

会社の負担軽減のために、税務署が扶養控除等申告書に関する事務取扱い方法の一つとして認めることとした記載省略方法です。

【扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略する方法2】

一定の要件に基づいて作成された帳簿を会社に備え付ける方法です。この場合、次の3つの要件を満たしている必要があります。

【要件1】
以下のいずれかの申告書の提出を受けて作成した備え付け帳簿を作成すること。

  1. 給与所得者の扶養控除等申告書
  2. 従たる給与についての扶養控除等申告書
  3. 退職所得の受給に関する申告書
  4. 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

【要件2】
備え付け帳簿に以下の事項が記載されていること。

  1. 扶養控除等申告書に記載されるべき提出者本人、控除対象配偶者、控除対象扶養親族等の氏名、住所及びマイナンバー(個人番号)
  2. 帳簿の作成に当たり提出を受けた申告書の名称
  3. 2.の申告書の提出年月

【要件3
マイナンバー(個人番号)の記載を省略する扶養控除等申告書が、平成29年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係るものであること。

方法2は、所得税法の改正により法律上認められることになった記載省略方法です。記載省略の根拠条文は所得税法第198条第6項になります。

扶養控除等申告書と紐付ける備え付け帳簿は、従業員から提出された扶養控除等申告書などの一定の税務署類に基づいて作成されたものでなければならないため、新しく入社した従業員から初めて扶養控除等申告書の提出を受けるときは方法2による記載省略は出来ません。

そのため、方法2によって記載省略をしようとする場合であっても、従業員から初めて扶養控除等申告書の提出を受ける場合は、方法1により記載を省略するか、または原則通りに個人番号を記載した扶養控除等申告書を提出してもらう必要があり、翌年分の扶養控除等申告書から方法2による記載省略が可能となります。

扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略したときは、退職時の個人番号の廃棄・削除に注意しよう

多くの会社では、普段、データベースなどの電磁的記録を用いて個人番号の管理を行っていると思いますが、扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略する場合、いくつかの注意点があります。

1つ目の注意点として、方法2によって個人番号の記載省略のために会社に備え付ける帳簿は「国税関係帳簿」にあたります。

国税関係帳簿を電磁的記録によって備え付けようとする場合は、あらかじめ所轄税務署に対して「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を提出して承認を受ける必要があります。

普段個人番号を管理しているデータベースをそのまま記載省略のための備え付け帳簿として利用しようとする場合は、このデータベースについて所轄税務署への承認申請が必要になります。

なお、方法1による場合であっても、会社は、扶養控除申告書とは別に提出された個人番号を保存しておく必要がありますが、この場合は、記載を省略した個人番号がデータベースなどの電磁的記録により保存されていたとしても、そのデータベースは国税関係帳簿には該当せず、所轄税務署に承認申請することは不要と思われます。

2つ目の注意点は、従業員が退職したときにおける個人番号の廃棄や削除です。

本来、従業員が退職した場合には、特段の事情がない限り、会社が保存している個人番号を速やかに廃棄または削除しなければなりません。

しかし、現在個人番号を管理しているデータベースを、そのまま記載省略のための備え付け帳簿として利用しようとする場合は、従業員の退職後も扶養控除等申告書の保存年限の期間である7年間は削除せずに保存しておく必要があります。

保存年限が終了したときは、他に引き続き保管しておかなければならない理由がある場合を除いて速やかにデータベースから削除しなければならず、個人番号の保存・廃棄の管理が煩雑になるおそれがあります。

この問題への対応策としては、毎年、その年の扶養控除等申告書に必要な個人番号などを印刷した紙ファイルの帳簿を作成して、それを扶養控除等申告書と紐付ける方法が考えられます。

印刷した紙ファイルの帳簿は、特定個人情報ファイルとして厳重に管理・保存することが必要となりますが、従業員が退職したときは、普段個人番号を管理しているデータベースから直ちに個人番号の削除を行うことができるようになります。

扶養控除等申告書の保存年限が経過したときにその扶養控除等申告書に紐付けられた紙ファイルも併せて破棄するようにすれば、個人番号の保存・廃棄の管理は容易になります。

国税庁HPのFAQも参考に

紙ファイルではなく、データベースとは別に保存した電磁的ファイルを個人番号の記載を省略した扶養控除等申告書と紐付けたい場合は、方法2を用いる場合は、その電磁的ファイルを国税関係帳簿として所轄税務署に対して承認申請することが必要になりますが、方法1を用いれば、所轄税務署に対する承認申請が不要になると考えられます。

そのほか、国税庁のHPの源泉所得税に関するFAQでも扶養控除等申告書の個人番号の記載とその省略に関するQ&Aが出ていますので、参考にしてみてください。

なお、個人番号の記載の省略は、あくまで「特定個人情報」としての取り扱いが不要となるというだけです。

個人番号の記載を省略したとしても、扶養控除等申告書に記載されている内容は大事な個人情報ですので、その取り扱いには十分留意してください。

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