厚生労働省が年次有給休暇の取得義務化に関するリーフレットを公開

厚生労働省が年次有給休暇の取得義務化に関するリーフレットを公開

平成31年4月1日から施行される改正労働基準法で、使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して時季を指定して年5日の年次有給休暇を取得させることが義務付けられます。

本改正に関して、厚生労働省は平成30年12月25日、年5日の年次有給休暇の確実な取得を解説したリーフレットを同省HPで公開しました。

リーフレット「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」(https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

リーフレットの内容も踏まえながら、年次有給休暇の取得義務化の留意点を確認します。

適用猶予措置はなくすべての事業場が対象に

年次有給休暇の取得義務化は、事業規模や業種にかかわらずすべての事業場が平成31年4月1日から法改正後の規定が適用されます。

時間外労働の罰則付き上限規制のように中小企業や一部業種に対する適用猶予措置は設けられていません。

適用は、施行日以降に付与された(基準日が到来した)年次有給休暇からが対象となります。例えば、施行日の前日である平成31年3月31日に基準日が到来して年次有給休暇が付与されたとしても時季指定義務の対象とはならず、次の基準日(施行日以降に到来した基準日)に付与された年次有給休暇から時季指定義務の対象となります。

年10日以上の年次有給休暇を付与される労働者とは

使用者の時季指定義務の対象となるのは、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者です。残日数ではなくその年に付与された日数が基準となりますので、もし前年からの繰り越し分が10日以上あったとしても、今年の年次有給休暇が付与されなかった場合(出勤率が8割未満であった場合)には時季指定義務の対象とはなりません。

なお、多くの会社では前年からの繰り越し分と今年の付与分がある場合には繰り越し分から取得させることにしていますが、年5日の取得をさせるべき年次有給休暇は今年の付与分であるか前年からの繰り越し分であるかは問いません。

正社員(週30時間以上又は週5日以上)は、採用から6カ月経過した時点で10日間の年次有給休暇が付与され、その後は1年ごとに付与日数が増加していくため、すべての者が時季指定義務の対象となります。

パートタイム労働者(週30時間未満かつ週4日以下)は、週の所定労働日数に応じた比例付与となるため、時季指定義務の対象とならない場合があります。具体的には週4日で勤続年数が3年6カ月以上の場合と週3日で勤続年数が5年6カ月の場合に時季指定義務の対象となります。

なお、法律上は比例付与のため10日未満の付与となるパートタイム労働者に法定を超える年10日以上の年次有給休暇を付与している場合には、使用者による時季指定義務の対象とはなりません。

年5日を取得させる期間の考え方

原則

使用者は、基準日(年次有給休暇を付与した日)から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。

法定の基準日よりも繰り上げて年次有給休暇を付与している場合には繰上げによって年次有給休暇を付与した日が1年の起算日となります。

例えば、入社日に10日の年次有給休暇を繰り上げて付与している場合は、入社日から1年以内に5日の年次有給休暇を付与する必要があります。

1年の期間が重複する場合

基準日から1年以内に次の基準日が到来する場合には、前の基準日(前の期間の始期)から後の基準日から1年を経過した日(後の期間の終期)までの期間の長さに応じて按分した日数を当該期間を通じて取得させることが認められます。

例えば、1年目は入社6カ月後(平成31年10月1日)に年次有給休暇を付与し、2年目からは全ての社員に4月1日に年次有給休暇を付与することとしているため平成32年4月1日に年次有給休暇を付与した場合、平成32年4月1日から平成32年9月30日までは、前の期間と後の期間が重複します。

この場合は、平成31年10月1日(前の期間の始期)から平成33年3月31日(後の期間の終期)までの1年6か月の間に7.5日(年5日を1.5年に換算した日数)を取得させることができます。

前の期間と後の期間でそれぞれ一定の日数を取得させなければならないという指定がないため、前の期間の1年間(平成31年10月1日から平成32年9月30日)に全く年次有給休暇を取得させていなくても、通算した最後の6カ月間(平成32年10月1日から平成33年3月31日)に7.5日を取得させたとしても法違反とはならないと解されます。

年次有給休暇を分割して付与している場合

年次有給休暇を分割して付与している場合は、付与日数の合計が法定日数に達した日が1年の起算日となります。ただし、当該日より前に取得した日数も5日の日数に含めても構いません。

例えば、入社日に5日、入社3カ月後に5日の年次有給休暇を付与している場合は、法定日数の10日に達した入社3カ月後の日が1年の起算日となります。

ただし、入社日から入社3カ月後までに年次有給休暇を取得している場合には、当該取得日数を年5日に含めても問題ありません。つまり、年5日を取得させるべき期間が1年よりも長くなります。

休業や休職している労働者の取扱い

休業している労働者の取扱いについて、リーフレットで次のようなQ&Aが示されています。

Q13
【Q】
休職している労働者についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得させる必要がありますか。
【A】
例えば、基準日からの1年間について、それ以前から休職しており、期間中に一度も復職しなかった場合など、使用者にとって義務の履行が不可能な場合には、法違反を問うものではありません。

Q14
【Q】
年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得させる必要があるのでしょうか。
【A】
年度の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、年5日の年次有給休暇を確実に取得していただく必要があります。ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではありません。

1年間全て休職している場合が時季指定義務の対象とはならないのは当然と言えるでしょう。1年の途中で休職に入った場合も、期間終了直前の数日だけ休職した場合を除けば法違反を問われるものではないと解されます。

1年の途中で休業から復帰した労働者については、原則として年5日の取得義務が課せられます。11カ月休職して最後の1カ月で復職した場合にはその1カ月の間に5日の年次有給休暇を取得させなければならないことになりますが、ただ、法違反は成立するとは言え、罰則(30万円以下の罰金)に処すほどの悪質性が認められる可能性は低いでしょう。

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