労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)第35条の2、第35条の3は、、労働者派遣期間の制限(派遣3年ルール)について定めています。
§労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
(労働者派遣の期間)
第35条の2 派遣元事業主は、派遣先が当該派遣元事業主から労働者派遣の役務の提供を受けたならば第40条の2第1項の規定に抵触することとなる場合には、当該抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行つてはならない。(=派遣先事業所単位の期間制限)第35条の3 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。(=派遣労働者個人単位の期間制限)
上記の派遣3年ルールは、同法第40条の2第1項各号に該当する者や業務については適用対象外となります。
第40条の2 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。ただし、当該労働者派遣が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、この限りでない。
- 無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣
- 雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であつてその雇用の継続等を図る必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣
- 次のイ又はロに該当する業務に係る労働者派遣
- 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であつて一定の期間内に完了することが予定されているもの
- その業務が一箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務
(第2項以下 略)
- 当該派遣先に雇用される労働者が労働基準法第65条第1項及び第2項の規定により休業し、並びに育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第2条第1号に規定する育児休業をする場合における当該労働者の業務その他これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣
- 当該派遣先に雇用される労働者が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第2号に規定する介護休業をし、及びこれに準ずる休業として厚生労働省令で定める休業をする場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣
第3号ロの「その業務が一箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の一箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務」は、「日数限定業務」と呼ばれますが、具体的にはどのような業務が該当するのでしょうか。
適用対象外となるのは「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」の業務
日数限定業務における「厚生労働大臣の定める日数」は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十条の二第一項第三号ロの規定に基づき厚生労働大臣の定める日数」(平成15年12月25日厚生労働省告示第446号)で10日と定められています。
§労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十条の二第一項第三号ロの規定に基づき厚生労働大臣の定める日数(平成15年12月25日厚生労働省告示第446号)
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第四十条の二第一項第三号ロの厚生労働大臣の定める日数は、十日とする。
また、「相当程度少なく」は、労働者派遣事業関係業務取扱要領で、「「相当程度少なく」とは半分以下である場合をいう。」と示されています。
したがって、日数限定業務として派遣3年ルールの適用対象外となるのは「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下の業務」となります。
判断基準は「派遣先の業務内容」であり「派遣労働者が業務に従事する日数」ではない
日数限定業務として派遣3年ルールの適用対象外となるかの判断基準は「派遣先の業務内容」であり、「派遣労働者がその業務に何日従事しているか」は関係しません。
例えば、ある業務について、月10日間を派遣労働者に従事させ、残りの月5日間を派遣先で雇用している従業員に行わせたとしても、その業務自体は「月15日間」行われているため、「月10日以下の業務」の要件を満たさず、期間制限の適用を受けます。
また、「通常の労働者の1か月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下の業務」を超える日数行われている業務に、繁忙対策として、業務量の多い日のみ自社の従業員に加えて派遣労働者にも従事させるような場合も、繁忙の差があるだけで業務自体は日数限定業務に該当しないため、期間制限の適用を受けることになります。
上記要領では、日数限定業務に該当する業務の具体的な例として、下記の2つが挙げられています。
- 書店の棚卸し業務
- 土日のみに行われる住宅展示場のコンパニオンの業務
派遣先の会社において非定常的に発生する業務又は非定型的に発生する業務が、「日数限定業務」として派遣3年ルールの対象外になると言えるでしょう。