副業をするために有給休暇を取得!問題はない!?

副業をするために有給休暇を取得!問題はない!?

副業・兼業解禁の流れを受け、多くの会社が副業・兼業のルールの整備を進めています。

これから副業・兼業をやってみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

通常、副業は、本業の就業時間外や休日の空いた時間を利用して行うことになりますが、場合によっては、本業の仕事を休んで副業を行いたい、または行わなければならないということもあるかもしれません。

では、終業後や休日に副業を行うことが認められている労働者が、本業で有給休暇を取得して副業を行うこと(副業を行うために本業で有給休暇を取得すること)に問題はないのでしょうか。

副業を行うために有給休暇を取得することは可能

原則として、有給休暇をどのような理由で取得して何をするかは労働者の自由です。

それは、副業を行おうとする場合でも例外ではありません。

そのため、本業で有給休暇を取得した日に副業を行うことに法律上の問題はありません。

本業の会社が、副業のルールとして有給休暇を取得して副業を行ってはならないと定めたとしても、有給休暇の自由利用を制限することになるため、無効な規定となります。

ただ、本来、有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させてゆとりある生活の実現に資するためという趣旨で労働基準法に労働者の権利として規定されています。

その観点からは、有給休暇を取得して副業を行うことはあまり望ましいこととは言えないかもしれません。

会社都合の休業日に副業を行った場合の留意点

では、会社都合で会社が休みになった日に、その時間を利用して副業を行う場合はどうでしょうか。

会社都合で休みになった日に副業を行うことも、法律上問題はありませんが、法律に基づいて会社から支払われるべき金銭について注意が必要です。

民法第536条第2項は、反対給付を受ける権利について規定しています。

§民法

第536条(債務者の危険負担等)
第2項 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

本条前段は、労働者(=働く義務がある債務者)が使用者(=働かせる権利がある債権者)の責に帰すべき事由で就業できなかった(=債務を履行することができなくなった)場合には、労働者は賃金を受ける権利(=反対給付を受ける権利)を失わないと規定します。

つまり、会社都合で休みになった日については、労働者は、勤務をしていなくても、その日分の賃金を会社に請求することができます。

ただし、本条後段は、労働者が働く義務を免れた(=自己の債務を免れた)ことによって利益(=副業の収入)を得たときは、これを使用者(=働かせる権利がある債権者)に償還しなければならないと規定しています。

そのため、会社都合で本業の仕事が休みとなり、その時間を利用して副業を行い、収入を得た場合には、その分だけ会社に請求できる金額が少なくなることになります。

労働基準法第26条の休業手当の支払いとの関係

では、労基法第26条に定められている「休業手当」の支払いについてはどうでしょうか。

§労働基準法

第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

休業手当は、民法第536条第2項の規定に基づいて請求できる金額のうち、「強行法規で平均賃金の100分の60までを保障せんとする趣旨である」とされています(昭和22年12月15日基発502号)。

(関連記事:労働基準法の「休業手当」と民法の「反対給付を受ける権利」の関係は?

つまり、休業手当も民法の規定によって支払われるべき賃金の一部であることから、労働者が副業を行って収入を得た場合には、使用者は、その金額分だけ支払いを免れることになります。

もし、労働者が、その日の副業で「平均賃金×60%」を超える収入を得た場合には、休業手当の支払いに関して労働基準法違反の問題は生じません。

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