1年単位の変形労働時間制を導入したときの時間外手当の計算方法

労働基準法第32条の4で規定されている「1年単位の変形労働時間制」を適用している場合の時間外労働時間は、

  1. 各労働日において時間外労働となる時間を算出する
  2. 各週において時間外労働となる時間を算出する
  3. 変形期間全体で時間外労働となる時間を算出する
  4. 上記1~3を合計する

という手順で算出します。

(1)各労働日において時間外労働となる時間を算出する

最初に、各労働日において時間外労働となる時間を算出します。

各労働日において時間外労働となる時間を【A】とすると、

【A】=(その日の実働時間)-(8時間とその日の所定労働時間の長い方)

となります。

【A】が0より小さくなった場合は0としてください。

例えば、1日の実労働時間が10時間だった場合、その日の所定労働時間があらかじめ9時間と定められていたのであれば、9時間を超える1時間が時間外労働になります。

しかし、その日の所定労働時間があらかじめ7時間と定められていたのであれば、8時間を超える2時間が時間外労働になります。

(2)各週において時間外労働となる時間を算出する

次に、各週において時間外労働となる時間を算出します。

各週において時間外労働となる時間を【B】とすると、

【B】=(週の実労働時間(法定休日を除く))-(その週の【A】の合計)-(40時間と週所定労働時間の長い方の時間)

となります。

【B】が0より小さくなった場合は0としてください。

(1)の場合と同様に、その週の所定労働時間があらかじめ40時間超で定められていた場合は当該定められていた時間を超えた時間が時間外労働となり、40時間以下で定められていた場合は40時間を超えた時間が時間外労働となります。

(3)変形期間全体で時間外労働となる時間を算出する

最後に、変形期間全体で時間外労働となる時間を算出します。

「変形期間を通じて週平均40時間を超えた時間」が時間外労働となります。

変形期間が1年の場合、週平均40時間を年間の総労働時間に換算すると約2,085時間(うるう年は約2,091時間)となるため、変形期間全体で時間外労働となる時間を【C】とすると、

【C】=(変形期間の総実労働時間(法定休日を除く))-(変形期間の【A】の合計)-(変形期間の【B】の合計)- 約2,085時間

となります。

【C】が0より小さくなった場合は0としてください。

(4)上記1~3を合計する

各月の終了時(賃金計算期間の終了時)に【A】~【C】を計算し、合計した時間数が、その月における時間外労働時間となります。

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