36協定届の新様式(案)が公開。従来の36協定届の様式との変更点は?

厚生労働省は平成30年8月9日、法改正後における時間外労働の罰則付き上限規制に対応した新しい36協定届(時間外労働・休日労働に関する協定届)の様式(案)を公表しました。

【厚生労働省HP】時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)の新様式(案)

従来の36協定届からどのような点が変更になっているか確認してみたいと思います。

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労働保険番号と法人番号の記入欄が追加

1枚目の右上に労働保険番号と法人番号の記入欄が追加されました。 労働保険への加入状況を確認するとともに、労働保険番号と紐づけることで管理を容易にすることが目的と考えられます。

協定の有効期間が1か所のみの記載に変更

従来、時間外労働や休日労働を行わせる業務の種類ごとに設けられていた協定の有効期間の記入欄が1か所のみの記入に変更されました。

また、法改正後から協定で定めることとされている「対象期間(1年)」の起算日を記入する欄が設けられています。

延長時間を定める期間はあらかじめ記載されている

従来は「1日」「1日を超え3箇月以内の期間」「1年」について延長時間を定めることとされていましたが、法改正後は「1日を超え3箇月以内の期間」について任意の期間を選択することができなくなり、必ず「1箇月」について協定しなければならなくなったため、延長時間を定める期間として「1日」「1箇月」「1年」があらかじめ明記されました。

「所定」と「法定」を分けて記載する欄を新設

延長することができる時間について、「法定労働時間を超える時間数」と「所定労働時間を超える時間数(任意)」が別々に設けられました。

労働基準法の「時間外労働」とは、法定労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて行わせた時間を指します。

所定労働時間が9時~17時(休憩1時間)の7時間の会社が19時まで労働を行わせた場合には、18時までの1時間は法定労働時間内であるため、18時から19時までの1時間が時間外労働となります。

従来の36協定届では、所定労働時間を超える延長時間について締結することもその旨が明確にされていれば可能でしたが、新様式では、必ず法定労働時間を超える延長時間についての記載が必要となっています。

所定労働時間を超える延長時間について協定するかどうかは任意であり、所定労働時間が1日8時間を下回っているからといって必ず協定及び記入をしなければならないわけではありません。

休日労働の記入欄が法定休日についての記入であることが明確に

従来の様式は「所定休日」と「労働させることができる休日並びに始業及び終業の時刻」の欄が設けられています。

「所定休日」は会社が定めるすべての休日を記入します。

「労働させることができる休日~」は労働させる法定休日について記載しますが、「労働させることができる休日」としか記載されていないため、対象となる休日が不明瞭でした。

新様式では、「労働させることができる休日並びに始業及び終業の時刻」が「労働させることができる法定休日の日数」と「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」の記入欄に分けられ、それぞれ法定休日を対象にして記入することが明確にされています。

また、所定休日の記入は任意となっています。

月100時間未満及び月平均80時間以内のチェックボックスの追加

法改正後は、月100時間以上又は2~6か月平均で80時間超の時間外労働を行わせた場合には36協定の締結内容にかかわらず罰則の対象となりますが、これらの上限時間を超えると法違反であることを確認するチェックボックスが設けられました。

法律を知らなかった等の言い逃れを防止する目的と考えられます。

2枚目に特別条項に関する事項の記載欄を新設

最も大きな変更点と言えるのが、臨時的に原則の限度時間を超えて延長するために必要な事項(いわゆる「特別条項」)の記載欄が、2枚目に新たに設けられたことです。

従来の36協定届は1枚で、特別条項に必要な項目は欄外や余白などに記入していましたが、新様式では、1枚目が原則の限度時間に関する事項の記入用で、2枚目が特別条項に関する事項の記入用となっています。

なお、様式(案)では特別条項を定めない場合の1枚のみのものも示されています。

特別条項を導入するために定めなければならない事項の記入欄が全て設けられているため、必要事項の記載漏れは従来よりも減少すると考えられます。

なお、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」としては、次に掲げる9項目から選択することが望ましいとされています。

  1. 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
  2. 法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月に ついて一定回数以内とすること。
  3. 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
  4. 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を 付与すること。
  5. 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
  6. 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその 取得を促進すること。
  7. 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
  8. 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署 に配置転換をすること。
  9. 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等に よる保健指導を受けさせること。

「該当する番号」は上記の番号を選択して、具体的内容を別途記載します。

該当番号を「⑩その他」として上記以外の措置を講じる余地も残されていますが、実務上は上記9項目のどれかを選択することがやはり望ましいでしょう。

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