健保「傷病手当金」と労災「休業(補償)給付」の比較(2)~1日当たりの支給額~

健保「傷病手当金」と労災「休業(補償)給付」の比較(2)~1日当たりの支給額~

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健康保険の「傷病手当金」と労災保険の「休業(補償)給付」の比較を行うシリーズの第2回です。(シリーズ関連記事はこちら

今回は、1日当たりの支給額について比較してみます。

傷病手当金の支給額は「標準報酬月額」で決まる

健康保険の傷病手当金は、毎年4~6月の3ヶ月間に支払われる報酬額によって決まる「標準報酬月額」に基づいて1日当たりの支給額が計算されます。

具体的には、「傷病手当金の支給開始日以前の12ヶ月間の標準報酬月額の平均額」を30(日)で割って2/3を乗じた金額が、1日当たりの支給額になります。

報酬額が多い人は傷病手当金の支給額が多くなり、報酬額が少ない人は傷病手当金の支給額も少なくなります。

また、労使折半で負担している健康保険料額も標準報酬月額に基づいて算出されているため、報酬が多い人は健康保険料負担も多くなり、報酬が少ない人は健康保険料負担も少なくなります。

つまり、傷病手当金は、毎月納付している健康保険料が多い(標準報酬月額が高い)ほど、ケガや病気で休んだ時に支払われる傷病手当金の額も多くなります。

掛金が多いほど保険金の金額も多くなる一般的な保険の考え方に近い支給額の決め方と言えるでしょう。

なお、標準報酬月額は、毎年1回、4~6月の3ヶ月間に支払われる報酬額に基づいて見直しが行われますが、大幅な昇給や減給がない限り、年の途中で見直しは行われません。

そのため、いつ休業して傷病手当金の給付を受けることになったとしても、その支給額が大きく変わることはありません。

休業(補償)給付の支給額は直近3ヶ月間に支払われた賃金総額で決まる

労災保険の休業(補償)給付は、直近3ヶ月に支払われた賃金総額によって決まる「給付基礎日額」に基づいて1日当たりの支給額が計算されます。

具体的には、「直近の賃金締切日以前3ヶ月間に支払われた賃金総額」を「その期間の総日数」で割った金額(=給付基礎日額)に60%を乗じたものが、1日当たりの支給額になります。

また、給付基礎日額に20%を乗じた金額が「休業特別支給金」として支払われるため、実質的には給付基礎日額の80%に相当する金額が支給されることになります。

賃金総額には、基本給など毎月固定で支払われる賃金だけでなく、残業代や成果報酬など月によって支給額が異なる賃金も含まれるため、休業する直近の月に残業時間が多かった場合には休業(補償)給付の支給額が多くなります。

つまり、休業の時期によって休業(補償)給付の支給額は大きく変わる可能性があります。

なお、賞与や臨時で支払われた賃金は給付基礎日額の計算には含まれないため、賞与が支払われた直後だけ休業(補償)給付の支給額が多くなるということはありません。

健康保険は保険料負担額を重視、労災保険は賃金水準の維持を重視

以上を整理すると、健康保険の傷病手当金は、普段の保険料負担額とのバランスを重視して1日当たりの支給額を決定していると言えます。

一方、労災保険の休業(補償)給付は、直近で実際に支払われている賃金額に基づいて支給額を算出することにより、休業期間中の収入水準を維持することを重視して1日当たりの支給額を決定していると言えるでしょう。

(関連記事:健保「傷病手当金」と労災「休業(補償)給付」の比較(1)~(4)

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